ニューマーケット開発計画の再検討に向けた提案を地元市議会が阻止(イギリス)[その他]
フォレストヒース市議会(Forest Heath District Council: FHDC)の議員たちは、2月9日夜にミルデンホールで行われた会合における満員の傍聴者の前で、FHDCの計画審査官がダービー卿(Lord Derby)のハッチフィールド牧場(Hatchfield Farm)開発への妥協案を急速に進めようとする試みにブレーキをかけた。
これまでと同様、競馬界は1時間の会合に向けて自分たちの意思を伝えるために大勢集まった。そして、ヘンリー・セシル(Henry Cecil)調教師やマイケル・スタウト(Michael Stoute)調教師などと一緒に、タタソールズ社(Tattersalls)、ゴドルフィン社、ダーレー社の代表者たちも抗議を行っていた。
ニューマーケットの南東部に1,200棟の新築住宅を建設するという提案は、2010年6月のFHDCで却下されていたにも拘わらず、クリスマス前にダービー卿が計画視察団を相手に上訴することを決定したことをうけて、再度検討事項となった。
しかし市議会議員は、“妥協案”に向けて提言を行うことを14対1で拒否し、議論の中で、当初の計画が否決された5つの理由を取り上げた。
会合の冒頭にFHDCの計画審査官は、市議会議員たちに、2010年6月に否決された当初の計画に関して指摘された5点のうち少なくとも2点については確かに対応措置が採られたと述べた上で、市議会と上訴人の間で調停手続きに入るよう勧告した。
しかし市議会議員たちは、それら2点のどちらについても解決されたとは認めなかった。
それから交通の問題が議論され、“幹線道路に関する技術の専門家と馬に関する特別の知識を持つ専門家からのアドバイスを得る”という提案が出されたが反対に会った。
市議会議員は12月の会合において、幹線道路に関する独立コンサルタントにこの計画を再評価してもらうために5万ポンド(約700万円)を支出するという同様の案を既に却下していた。
ニューマーケット選出の議員であるイアン・ラドフォード(Ian Radford)氏は、「私たちは上訴人を支援するための出来る限りの手段を何とかして探そうとしてはいます。ただ、前回の会合において交通調査の実施要請を却下したことについて言えば、この情報を私たちに提供すべきなのはダービー卿であり、その逆ではありません」と語った。
一方で、FHDCの計画担当部門のトップであるニコラ・ベイカー(Nicola Baker)氏は、市議会が負担するであろう費用について憂慮していた。同氏は次のように語った。「訴訟に向けた妥協案は4月7日までに用意されなければならないので、これらの話し合いをまとめるには限られた時間しかありません。私たちはこれらの問題の多くを打開するための技術的なアドバイスを得ていますが、もしメンバーがそれ以上のことを望むのであれば、私たちは新しい情報を取り入れなければならず、私たちが負担する費用は嵩むかもしれません」。
投票後、ジェームズ・ファンショウ(James Fanshawe)調教師は、傍聴席から下りてくる多くのニコニコ顔の一人だった。同調教師は、「私は、市議会議員がニューマーケットの人々の訴えていることを反映してくれたと感じ、嬉しく思っています。市議会議員たちが市の計画部門に振り回されていないことは明らかです」と語った。
ニューマーケット歴史的建造物保護活動団体(Save Historic Newmarket Action Group)の筆頭メンバーであるジャスティン・ワッダム(Justin Wadham)氏は、「計画審査官がこのように提案を出してくることは、多くの市議会議員に対して激怒を誘うようなものです。だからこそ議員の大部分が反対票を投じたのです」と付言した。
By David Milnes
(1ポンド=約140円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2010年No.18「ニューマーケット開発計画の決定、6月まで延期(イギリス)」、2010年No.24「ニューマーケットの開発計画が却下される(イギリス)」
[Racing Post 2011年2月11日「Councillors block attempt to push through Hatchfield compromise」]