騎手組合、チャーチルダウンズ社に援助打切りを再検討するよう要求(アメリカ)[その他]
チャーチルダウンズ競馬場でのブリーダーズカップに騎乗する数時間前、北米のトップジョッキーたちの多くがルイビルのホテルに集まり、チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)に騎手に対する資金援助を続けるよう要求した。
騎手組合は、アーリントンパーク競馬場、コルダー競馬場およびフェアグラウンズ競馬場を含むCDI所有の競馬場で騎乗した200人以上の騎手から集めた署名を提示し、医療補助の更新を要求した、と騎手組合(Jockey’s Guild)のテリー・ミックス(Terry Meyocks)事務長は述べた。
CDIはこれまで生命保険、事故死・障害保険および一時的障害手当に年間33万ドル(約2,640万円)を提供していたが、10月に、年末を最後にその資金提供を打ち切ると騎手組合に通知していた。
ミックス事務長は、「数ヵ月前、CDIは現役騎手と体に障害を負って騎乗できない騎手の両方に対する資金提供契約を更新しないと騎手組合に通知してきました。大きい競馬場から小さい競馬場まであらゆる規模の競馬場が騎手組合に資金提供しています。各競馬場は騎手組合を相応しい支援先だと考えています」と語った。
「今日私たちは、財政支援の延長を組合と話し合うため経営陣を交渉のテーブルに着かせるようCDIの理事会メンバーに訴えます」。
11月3日の朝、CDIのスポークスマンであるジュリー・コーニック-ロイグノン(Julie Koenig-Loignon)氏は、競馬場所有者としての立場は変わっていないと語った。
金曜日の会合には、騎手組合の会長であるジョン・ベラスケス(John Velazquez)騎手、競馬の殿堂入り騎手であるマイク・スミス(Mike Smith)騎手、ケント・デザーモ(Kent Desormeaux)騎手およびエドガー・プラド(Edgar Prado)騎手をはじめとする著名騎手が出席した。
この会合への他の参加者には、ゲイリー・バーザー(Gary Birzer)元騎手やマイケル・ストレート(Michael Straight)元騎手がおり、彼らはエイバー・コア(Eibar Coa)元騎手、ジャニオ・クルス(Janio Cruz)元騎手およびランディー・メイヤー(Randy Meier)元騎手と同様に、競走中の事故による脊髄損傷で車椅子の生活を余儀なくされている。
デザーモ騎手は、「この資金は車椅子を購入するために使われています」と述べ、資金提供が援助を必要としている騎手に恩恵を与えていることを強調した。
騎手組合は、5人の障害を負った騎手が今年のブリーダーズカップを観戦するための資金を提供した。2004年にマウンテニア競馬場の事故で脊髄を損傷したバーザー元騎手は、騎手組合から恩恵を受けたと語っていた。
バーザー元騎手は、「騎手組合は私が保険を必要としているときに援助してくれました。CDIがその契約を更新しないのであれば、私と他の障害を持つ騎手たちを危険に晒すでしょう」と語った。
ミックス氏は、ゲーム会社が競馬場を買収したときには経営陣の交替が起こるので、騎手組合は競馬場の所有者たちの理解を得る啓発取組みを行うべきであったと述べた。CDIのゲーム運営は着実に成功を遂げている。
騎手組合は、今週NYRA(ニューヨーク競馬協会)およびストロナックグループ(Stronach Group)所有の競馬場と新契約を締結したことを発表した。これにより騎手組合のメンバーであるサラブレッドとクオーターホースの騎手675人は、医療保険のために1騎乗につき4ドル(約320円)を拠出することになる。
ミックス事務長は、8年ほど前には競馬場からの寄付金は年間約220万ドル(約1億7,600万円)に達していたと述べた。そして、競馬場からの寄付金は一時期半減したが、その後年間140万ドル(約1億1,200万円)になっていると語った。この寄付金に加えて、騎手たちの1騎乗ごとの拠出金は2010年で90万(約7,200万円)ドルに到達した。CDIの資金提供の打切りは、寄付金プール全体の14.3%、競馬場からの寄付金全体の23.6%を減少させることになる。
ミックス事務長は、CDIが資金提供を打ち切った場合に騎手組合がその損失分をどのように肩代わりするのかについては語らず、「騎手組合は、CDI所有の競馬場でストライキを実施しようとは考えていません。CDIと問題をうまく解決することを望んでいます」と述べた。
By Frank Angst
(1ドル=約80円)
[thoroughbredtimes.com 2011年11月4日「Jockeys’ Guild asks Churchill to reconsider ending support」]