英国チャンピオンズデー、馬場全体をカバーで覆う計画を検討(イギリス)[開催・運営]
アスコット競馬場は、英国チャンピオンズデーを台無しにしてしまう降雨の影響を克服するために、来春の試行で良い結果が得られればコース全体をカバーで覆うことを計画している。
アスコット競馬場とQipco社は、来年4月にその有効性をテストするために、馬場1ハロン(約200m)を覆う空気注入式のビニールカバーを購入しようとしている。
調教師たちはこの提案を大歓迎しているが、馬場不良のために管理馬ザグレイギャッツビー(The Grey Gatsby)がチャンピオンS(G1)を回避したケヴィン・ライアン(Kevin Ryan)調教師もその1人である。
英国一の高額賞金を誇るチャンピオンズデーは、2011年の第1回開催は上々の馬場状態だったが、その後2年間は重馬場、今年10月は不良馬場で施行され、数頭の一流馬が出走を取りやめることとなり出走馬のレベルに影響を与えた。
英国チャンピオンズデーは今後も10月後半に開催するので、アスコット競馬場とQipco社は、ポーランドの製造業者と協力し、コース全体をカバーで覆うことは実行可能かどうか把握しようとしている。
馬場取締委員であるクリス・スティッケルズ(Chris Stickels)氏は11月5日、次のように語った。「私たちは馬場上に降り落ちた雨量を減らす方法を模索するために一緒に取組んでいます。とても長い道のりですが、来年4月には馬場でテストができるよう空気注入式ビニールカバーが現在製造されつつあります」。
「馬場全体を覆うことを考えていますが、現段階ではテスト用の素材で馬場の約1ハロン(約200m)だけを覆う予定です。まず小面積で試行してみなければ、競馬場全体を覆うための費用をつぎ込むことはできません」。
「私たちとQipco社がこの試行の費用を拠出していますが、これが成功すれば来年の英国チャンピオンズデーにはコース全体がカバーで覆われるかもしれません」。
アスコット競馬場とQipco社は、馬場状態への懸念が原因で、英国平地競走のハイライトと宣伝されるチャンピオンズデーよりもブリーダーズカップを目標とする馬主や調教師たちを説得できないことを心配している。
スティッケルズ氏は次のように付け加えた。「多くの素材を検討してきましたが、現時点では、園芸用に使われるものに似た光を通す空気注入式のビニールカバーを考えています」。
ザグレイギャッツビーはまだ馬場が重くなっていない9月の愛チャンピオンS(G1)でオーストラリア(Australia)を破り、今シーズンを終えた。同馬を管理するライアン調教師は次のように語った。「これは妙案です。英国チャンピオンズデーは絶好の機会であり素晴らしい競馬開催なので、あらゆる優良馬が集まることは良いことです。今年ザグレイギャッツビーを出走させたかったのですが、馬場状態は私たちに不利でした」。
「英国チャンピオンズデーは高額賞金と素晴らしいスポンサーを誇るのに、馬場状態のために回避しなければならなかったのは残念です」。
「1年のこの時期はいつも馬場状態に少しばかり懸念があり、それを防ぐことができるのであればどのような方法でも素晴らしいことです」。
馬場状態不良のためにクイーンエリザベス2世S(G1)を回避した優良牝馬リジーナ(Rizeena)を管理するニューマーケットのクライヴ・ブリテン(Clive Brittain)調教師も、この計画を支持し、次のように語った。
「この盛大な競馬開催のために馬場全体をカバーで覆うことは、誰もが馬場状態について正確な評価ができるので良いアイデアです。雨の場合でも、不確定要素を排除できるでしょう」。
「現時点では、重馬場を好む馬がいたとしても、馬場は場所によってまだらになっていて、いくつかの場所では水が溜まって重くなっている状態です」。
By Graham Green
[Racing Post 2014年11月6日「Ascot to trial weather-beating Champions Day covers in spring」]