海外競馬ニュース 軽種馬登録ニュース 海外競馬情報 統計データベース 海外競馬場・日程 世界の競馬および生産統計 海外競走登録 申請書類
血統書サービス 引退名馬
twitter FB
TOPページ > 海外競馬ニュース > 国際的影響力を持つイルーシヴクオリティが種牡馬生活から引退(アメリカ)[生産]
海外競馬ニュース
2017年06月29日  - No.25 - 2

国際的影響力を持つイルーシヴクオリティが種牡馬生活から引退(アメリカ)[生産]


 ダーレーは6月21日、マイルの世界最速記録を更新し、リーディングサイアーに輝いたイルーシヴクオリティ(Elusive Quality 24歳)の種牡馬生活からの引退を発表した。

 モハメド殿下が所有したイルーシヴクオリティ(父ゴーンウエスト)は、同殿下が米国で供用した2頭目の種牡馬である。同馬はG1優勝を果たさなかったが、ガルフストリームパーク競馬場で7ハロン(約1400m)のトラックレコードを打ち立て、ベルモントパーク競馬場での芝のマイル競走で当時の世界最速タイムを更新するなど、高いレベルのパフォーマンスを見せた。

 ゴドルフィンUS社のCOO(最高執行責任者)を務めるダン・プライド(Dan Pride)氏はこう語った。「イルーシヴクオリティは競走馬としても種牡馬としても素晴らしいキャリアを達成しましたが、ここジョナベル牧場(Jonabell Farm)でくつろいで余生を過ごすにはちょうど良いタイミングです。現在産駒が優秀な成績を収めていることと、ブルードメアサイアーとしても成功していることを考えると、彼の影響力はレガシー(遺産)となり、これからもしばらく続くでしょう」。

 イルーシヴクオリティは、ケンタッキー州のジョン&マリー・コステロー夫妻(John and Marie Costelloe)のシルバースプリングスファーム(Silver Springs Farm)で生産された。3歳の時に未勝利戦でデビューして優勝し、その後2戦した後に臨んだ1996年ビショップS(G2)で2着となった。4歳シーズンには、ガルフストリームパーク競馬場で7ハロンを1分20秒17で走りトラックレコードを打ち立てた。また、芝に転向して2戦目である1998年ポーカーH(芝G3 ベルモントパーク競馬場)では1マイルを1分31秒63で走り、当時の世界最速記録を更新した。その他、ジャイプルH(芝G3)など7レースを制し、イルーシヴクオリティは通算成績20戦9勝、2着3回、3着2回、獲得賞金41万3,284ドル(約4,546万円)で引退した。

 イルーシヴクオリティは、当時モハメド殿下の兄マクツーム殿下が所有していたゲインズボロー牧場(Gainsborough)で種牡馬入りした。2006年のマクツーム殿下の逝去後、同馬はジョナベル牧場に移動した。1999年の供用初年度の種付料は1万ドル(約110万円)だったが、種付料はそのレベルに長くはとどまらなかった。初年度産駒から11頭のブラックタイプ競走勝馬が輩出し、その中には仏G1馬でフランスの最優秀2歳馬となったイルーシヴシティ(Elusive City)がいた。当初、イルーシヴクオリティは2002年フレッシュマンサイアーズランキングで首位に立っていたが、イルーシヴシティが禁止薬物を使用して出走していたことが判明して賞金が再分配されたことを受けて取り消された。

 しかし、イルーシヴクオリティ産駒はトップレベルの才能を見せ続けた。セカンドクロップには、2004年のケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)を制してベルモントS(G1)で2着となり、エクリプス賞の最優秀3歳牡馬に選出されたスマーティージョーンズ(Smarty Jones)や、BCフィリー&メアスプリント(G1)を制して2007年のエクリプス賞の最優秀短距離牝馬に選出されたメアリーフィールド(Maryfield)がいた。イルーシヴクオリティの種付料は2003年には3万ドル(約330万円)、2004年には5万ドル(約550万円)、2005年~2007年にはピークの10万ドル(約1,100万円)に達した。

 他に北半球で活躍した産駒には、英国の最優秀マイラーで2008年BCクラシックを制したレイヴンズパス(Raven's Passs)や、G1・4勝を果たして現在では若い種牡馬として活躍しているクオリティロード[Quality Road 牝駒アベルタスマン(Abel Tasman)は今年のケンタッキーオークス(G1)で優勝]、G1・4勝馬イルーシヴケイト(Elusive Kate)、2012年最優秀2歳牝馬サーティファイ(Certify)がいる。

 イルーシヴクオリティは2003年~2008年に豪州、2009年~2010年にブラジルにシャトルされ、現在では世界でブラックタイプ優勝馬127頭、重賞勝馬50頭を送り出している。産駒の獲得賞金額は1億1,560万ドル(約127億1,600万円)以上に上る。

 また、イルーシヴクオリティはブルードメアサイアーとして61頭のブラックタイプ優勝馬、5頭のG1馬を出している。61頭目のブラックタイプ優勝馬は、6月20日にウィンザーキャッスルS(ロイヤルアスコット開催)を制したゴドルフィンのサウンドアンドサイレンス(Sound And Silence 父エクシードアンドエクセル)である。

By Eric Mitchell

(1ドル=約110円)

[bloodhorse.com 2017年6月21日「International Sire Elusive Quality Pensioned」]


上に戻る