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海外競馬情報
2009年01月09日  - No.1 - 4

賭事市場開放に船出するロスチャイルド会長の舵取り(フランス 前編)【その他】


 怪文書が競馬界に流布し、フランスギャロ(France Galop)の会長と事務総長補佐の衝突が周知のものとなった。フランスギャロの雰囲気は数週間前と比べるとあまり芳しくない。エドゥアール・ド・ロスチャイルド(Édouard de Rothschild)会長は今回その沈黙を破り、事態を本紙に説明した。それはまた、“ロスチャイルド流”を考える機会にもなる。

Q  (パリテュルフ紙): あなたがフランスギャロの活動に興味を示さず、ほとんど競馬場に来ないこと、障害競走だけではなく地方の競馬を軽視していることが非難されています。この批判に対してどのようにお答えになりますか?
 
A  (ロスチャイルド会長): 競馬の将来に深い情熱がなくて、私がフランスギャロの会長職に留まることはあり得ません。競馬場に日々顔を出さないからと言って、私がフランスギャロでの日常活動に関わっていないということにはなりません。私はフランスギャロを代表する活動に重きを置いています。とはいえ、会長職はフランスギャロの他の役員たちと同様に無償の奉仕活動ですし、私は競馬だけではなく営利企業の活動に関わっていることをご理解いただきたいのです。
 
Q:  春の終わり、エマニュエル・ブール(Emmanuelle Bour)氏が事務総長の職を辞しました。フランスギャロの立場から見たところ、彼女とルイ・ロマネ(Louis Romanet)氏の間で権限と事務の引継ぎのための期間は9ヵ月もあったのに、何があったのでしょうか?このミスキャストは避けられなかったのですか?
 
A:  ロマネ家3代の仕事を引き継ぐことは容易なことではありません。ルイ・ロマネ氏が退任したとき、フランスギャロにおける彼の存在の大きさを実感しました。エマニュエル・ブール氏には、フランスギャロのような組織において、また地域共同社会のような競馬世界において自分の場所を見つけるのに困難がありました。もし、人材の採用が精密科学のようなものであれば、ミスキャストは起こりえないのですが・・・。現在ユベール・モンザ(Hubert Monzat)事務総長は、役員会の完全な信頼を得ています。
 
Q:  ロスチャイルド会長の“影の閣僚”と見なされている方は誰ですか?あなたは初めての会長選挙の際、統治について話すのを好んでおられました。統治に苦労しておりまた統治の重要性が理解されていない印象を受けますが。
 
A:  私は定期的に作業部会を開き、副会長や顧問たちと会合しています。だから私が独裁的であるというのは的外れな非難です。これらの会合は以前は戦略委員会と呼んでいたのですが、秘密は全くなく、フランスギャロが事務局となっています。
 私が多くの質問をし、多くの助言を求めるのは、私が人からアイデアを得て、意見を聞く方法なのです。私は銀行の経営もリベラシオン紙(Liberation)の経営もそのようにしてきました。

 他方、私たちは現在困難で複雑な時期に差しかかっています。人々は変化に恐れおののいています。私の使命は人気者になることではなく、危機に晒され複雑に変動する世界において競馬制度を近代化することです。混乱の伴う決定を敢えてすべき時もあります。
 
 
Q:  フランス場外馬券発売公社(Pari Mutuel Urbain: PMU)のベルトラン・ベランギエ(Bertrand Belinguier)会長を任期前に退職に追い込もうとしているというのは本当ですか?意見の不一致があるとすればそれは何ですか?
 
A:  私はここでシュヴァルフランセ(Cheval Francais:速歩競走協会)、フランスギャロ、PMUの各会長の関係は極めて緊密であることを改めて確認します。外部から内部分裂を引き起こそうと企てているのです。
 情勢の変化に不安があることは理解していますし、3団体間でさらに意思疎通を良くすることが必要でしょう。賭事市場開放で儲けようとしている者たちが意図的に流した噂によって、私たちが分裂することはありません。ベランギエ会長はPMUで誰もが認めるような実績を積んでこられ、現在も素晴らしい仕事をされています。同会長の任期は2009年9月までであり、彼の定年退職による空白をどう埋めるか大きな課題です。2009年9月までにPMU会長職にふさわしい有能な人物で就任可能なひとが見つかれば、そのような人材を確保するチャンスを逃す手はないでしょう。
 
 
Q:  賭事市場開放と新しい法律の導入について、あなたの見通しはいかがですか?
 
A:  新たな法律が、パリミューチュエル競馬賭事の維持ならびに競馬と競走馬生産への安定的な利益還元を保証するための一定の前提条件を満たす限りにおいて、インターネット賭事市場の秩序ある開放は、競馬と競走馬生産の発展に寄与すると期待しています。私は政府がまとめあげ数日後に国務院(行政裁判における最高裁判所としての機能と、法制局的機能を併せ持つ)に提出する法案には、これらの要素が盛り込まれているものと確信しています。
 しかし、これは私たちの不安を鎮めるのに十分なものではありません。インターネット・スポーツ賭事市場の開放は、馬券売上げの低下につながる恐れもあります。したがって、守りを固めるだけで縮小に甘んじれば、将来私たちの活動は社会の進歩から取り残されてしまうでしょう。私たちは他の賭事領域の賭事運営業者との提携について新しい形態を模索し、確立しなければなりません。これは、PMUを国際的事業の強化により発展させることと併せて、私たちの事業基盤を強固にし、さらには賭事の世界における競馬賭事のシェアを維持し、発展させるための唯一の方法なのです。

 要するに、すべてを一度に失う危険を冒して単一の事業だけに運命を賭けてはなりません。もし私たちにスポーツ賭事を運営する使命が与えられなければ、その代わりに私たちの収入源を多様化することが必要不可欠となるでしょう。
 
 
Q:  現在フランス宝くじ公社(Francaise des Jeux)について言われているように、PMUの全体的あるいは部分的な民営化に賛成ですか?
 
A:  賭事市場開放の枠組みにおいて、新たな法律ではフランスギャロとシュヴァルフランセに、競馬を公共の事業として運営する任務が与えられます。この任務の公共性が法的根拠となって、インターネット賭事運営業者(当然PMUを含む)には、これらの2団体に納付金を支払う義務が課せられるのです。この関係によって、競馬団体の活動は公益性が高まり、経済利益団体であるPMUの現在の地位も継続し強固なものとなります。
 PMUは競馬界への最大限の利益還元を最優先事項としており、その枠内で民間賭事運営業者のように活動しています。他の賭事業者との調和については、観念より行動を重視し、すべての好機を捉えるよう検討していく心構えが必要だと思います。フランス宝くじ公社は、他の賭事業者とパートナー関係を築いています。
 

By Francois Hallope

[Paris Turf 2008年11月22日「Édouard de Rothschild:《Je ne suis pas là pour plaire》」]


 


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