アイルランド、中国との契約締結に満足(アイルランド)【開催・運営】
アイリッシュ・サラブレッド・マーケティング社(Irish Thoroughbred Marketing: ITM)のCEOマイケル・オヘイガン(Michael O’Hagan)氏は4月16日、中国の数十億ドルを費やす競馬・生産開発事業のパートナーにアイルランドが選ばれたことは“非常に光栄”であると述べた。
農業・食糧・海洋省のサイモン・カヴニー(Simon Coveney)大臣は4月15日、アイルランドが中国の馬施設設立のための支援を行う4,000万ユーロ(約44億円)の輸出プロジェクトを発表した。
オヘイガン氏は中国滞在中の4月16日に、「パートナーに選ばれる可能性のあったすべての国々の中で、アイルランドが名乗りをあげて選ばれたことを非常に光栄に思っています」と語った。
そしてすぐに、アイルランド政府が契約を確実にする上で果たした役割を称賛した。
「この契約は、アイルランド政府が過去数十年間にわたって競馬産業に行ってきた投資を正当化します。すべての段階においてサラブレッド産業が政府から支援を得ていることは素晴らしいことです。この産業は、アイルランド文化の非常に大きな部分を占めています」。
同氏は次のように付言した。「カヴニー大臣が、契約締結に立ち会うために中国を訪れたことは、同大臣がサラブレッド産業に献身的に取り組んでいることを示しています」。
ITMは、アイルランドのサラブレッド産業に大きな利益を確実にもたらすはずの契約を締結するために小さな貢献が出来たことに満足している。
オヘイガン氏は、「これは全アイルランドとしての契約であり、私たちはそのことを十分認識しています。ITMも微力ながら貢献しましたが、主導したのはクールモア牧場(Coolmore)と農業・食糧・海洋省です。彼らはこの計画のために多くの貢献をしました」と続けた。
オヘイガン氏は、アイルランドが中国に対して今後果たす役割を熱心に繰り返し述べる一方、他の国々にも波及的な利益があることを確信している。
そして、「中国は多くのサラブレッドを必要としており、その多くはアイルランドから輸入されるだろうという気がしますが、他の多くの国にも波及するかもしれません。英国とアイルランドには相互的関係がありますので、英国人もこの計画から利益、しかも大きな利益を得るのは確実でしょう。この計画が欧州に巡って来たことは素晴らしいことであり、しかもそれがアイルランドであったことは最高です」と語った。
契約の最終決定はこの計画の規模が大きいことから時間を要するが、オヘイガン氏は中国をサラブレッド産業における主要国とするためにアイルランドが支援できることを望んでいる。
そして次のように語った。「これらの事柄はすべて、多くの時間と多くの交渉を要します。したがって私たちは中国の生活様式と流行を学ばなければなりません。しかし中国人も私たちがどのように振る舞い行動するかを学ばなければなりません」。
「このような市場はそう多くはないので、参加するからには丁寧に対処し面倒をみていかなければなりません。私たちの役割は競馬産業が成功するようその基礎の確立を支援することであり、これが重要なことです。誰にとっても手っ取り早い金儲けになるわけではなく、私たちもそうすることを望んでいません。私たちは、中国が競馬産業の発展のためにアイルランドとその専門知識を頼りにできるよう望んでおり、そうなれば、いつか中国産馬から英ダービー馬が出るかもしれません」。
By Tom Pennington
アイルランドの飼料会社、中国への輸出免許を獲得
コノリーズレッドミルズ社(Connolly’s Red Mills)は、中国が天津に初めての馬施設を設立する計画を発表した翌日の4月16日に、馬の飼料を中国大陸に輸出できる免許を獲得した初めての外資系企業となった。
アイルランドの農業・食糧・海洋省は4月16日、北京において、キルケニー郡のコノリーズレッドミルズ社を中国市場にアクセスできる唯一の会社とするため、家畜飼料を輸出する免許に関する契約を中国の当局者と締結した。
コノリーズレッドミルズ社の経営者であるジョー・コノリー(Joe Connolly)氏は、次のように語った。「私たちは2007年に中国の免許登録の手続きに着手しましたが、この度それが実を結んだことを非常に喜んでいます。枠組みを越えて私たちを支援してくれた、アイルランドの農業・食糧・海洋省、企業省および外務省に深い感謝の意を表したいと思います。
15億ユーロ(約1,650億円)が費やされる“天津競馬城(Tianjin Equine Culture City)”プロジェクトが来年から段階的に開場され、今後3年間にわたってアイルランドに4,000万ユーロ(約44億円)もたらすだろうという中国側の発表の後、この契約は締結された。このプロジェクトは、中国が生産のために100頭以上の繁殖牝馬と数頭の種牡馬、そして年間40日間の競馬番組のための数百頭の競走馬を輸入することを目指している。
ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland)のCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏は、「コノリーズレッドミルズ社の契約は、アイルランドの供給者にもたらされる多くの波及効果の最初の一例にすぎません。巨大なクールモア牧場はサラブレッド生産の確立に関わる3つの主力共同事業体の中で唯一の非中国系企業ですが、アイルランドのいろんな分野で関係者はすでに利益を受けています」と述べた。
そして次のように語った。「私たちがアイルランドに招いた中国の代表者たちは、すでに馬を購買し、さまざまな調教師に管理させています。息子のジェームズ氏がアイルランド国立種馬場で研修を受けているグオ・ジン(Guo Jin)氏の所有するチャイナワン(China One)は、ポール・ディーガン(Paul Deegan)調教師に管理され、ダンドーク競馬場で出走するためこの水曜夜に厩舎入りしました」。
「クールモア牧場に研修を受けに来ている中国人が8人おり、3人の騎手は競馬アカデミー・教育センターで7週間のコースを修了しました」。
マー・リアンカイ(Ma Liankai)氏、パン・ジフ(Pan Jifu)氏とシュアン・イン(Shuang Ying)氏の三名は全員、騎手志望者のための特別なフィットネスおよび競馬用語に的を絞った英語を含むすべてのテストに合格している。
By Jessica Lamb
(1ユーロ=約110円)
[Racing Post 2012年4月17日「Ireland’s delight at securing China deal」
「Irish feed firm secures China license」]