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No.51 - 3
女性騎手が落馬事故で死亡(ニュージーランド)[その他]
2016年12月22日

 12月18日にゴア競馬場でレベッカ・ブラック(Rebecca Black)騎手(40歳)が落馬事故で亡くなったことをうけ、ニュージーランド競馬界は喪に服している。

 第8競走(2000m)でブラック騎手の騎乗馬ポイントプルーヴン(Point Proven)は700m地点の近くで転倒した。テリー・モーズリー(Terry Moseley)騎手も巻き込まれて落馬したものの重傷を免れたが、騎乗馬ミスキャトルクリーク(Misscattlecreek)は予後不良となった。

 競馬場に駆けつけた警察はブラック騎手の死亡を確認し、検死官への報告書を作成した。一方で、裁決委員たちは開始した調査を一旦休止して、その日の残りのレースを中止とした。

 ブラック騎手の元夫ケルヴィン・タイラー(Kelvin Tyler)氏はニュージーランド・ヘラルド紙に対し、同騎手の3人の子どものうち2人が観戦していて、落馬とその後起こったことを見ていたと述べた。そして「彼らは衝撃を受け、ひどく落ち込んでいます」と語った。

 タイラー氏は、ブラック騎手の競馬への情熱についてこう付言した。「彼女は根っからの馬好きで、それが彼女のすべてであり、最も得意としていることでした」。

 亡くなったブラック騎手に哀悼の意を表する言葉はSNSに溢れた。2014年4月にシンガポールで騎乗していた双子の兄弟ネイサン(Nathan 当時23歳)を病気で亡くした豪州のリーディングジョッキー、トミー・ベリー騎手は、こうツイートした。「競馬界にまた悲しい日が訪れました。私たちはまた一つの美しい魂を失いました」。

 有力な厩舎であるティアカウレーシング(Te Akau Racing)は、ツイッターでこう述べた。「レベッカ・ブラック騎手が亡くなったことは心が引き裂かれるようなニュースです。ご遺族、ご友人にお悔やみを申し上げます。ひどく悲しいニュースです。私たちの勇敢な騎手たちは毎日危険にさらされています」。

 ヘラルド紙の記者マイケル・ゲリン(Michael Guerin)氏はツイッターでこう語った。「競馬界にとって最悪の日々が続いています。大好きな仕事をするために出掛けて、そのまま二度と帰宅できなくなるようなことは非常に残念です」。

 ブラック騎手は1993-94年シーズンにキャリアを開始し、休業と再開を繰り返す騎手生活を送った。2002-03年シーズンに見習騎手として騎乗を再開し、再び休業した後、2011年にカムバックを果たして多くの勝利を挙げた。

 30勝を挙げた2014-15年シーズンが同騎手にとって最高のシーズンとなった(同騎手の通算勝利数は108勝)。

 12月18日の悲劇的な事故は、ブラック騎手の騎手仲間のアシュリー・マンディ(Ashlee Mundy)騎手が犠牲となった2012年大晦日のクラウ競馬場における落馬事故のほぼ4年後に発生した。マンディ騎手の死亡事故は当時、豪州・ニュージーランドの競馬界を揺るがした。

 2014年10月には1週間に2人の騎手が亡くなっている。クイーンズランド州を拠点としていたカーリー・メイ-パイ(Carly Mae-Pye)騎手がバリアトライアル競走で、その後ケイトリン・フォレスト(Caitlin Forrest)騎手がマレーブリッジ競馬場(アデレード近郊)で、落馬事故に遭い亡くなった。

 2013年には、シモーヌ・モンゴメリー(Simone Montgomerie)騎手がファニーベイ競馬場(ダーウィン近郊)での落馬事故のために亡くなった。

 また、競馬界は昨年11月、豪州人のティム・ベル(Tim Bell)騎手がシンガポールのアパートから転落して亡くなったことをうけて喪に服していた。

By Mark Scully

(関連記事)海外競馬ニュース 2014年No.45「オーストラリアで女性騎手の落馬事故死が相次ぐ(オーストラリア)」

[Racing Post 2016年12月18日「Rider Rebecca Black dies in fall in New Zealand Flat race」]



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