ウィンクス(牝7歳)の馬主たちは、同馬が今年後半に繁殖入りした際の交配相手について決定を下す前に、世界中のさまざまなエージェント(馬売買仲介人)の意見を聞くだろう。
3月23日のジョージライダーS(G1 ローズヒル競馬場)で32連勝を目指すウィンクスの競走生活は、4月13日のクイーンエリザベスS(G1 ランドウィック競馬場)をもって終了する予定である(訳注:ウィンクスはジョージライダーSで2着に3½馬身差の優勝を果たし、見事に32連勝を決めた)。
ウィンクスの馬主であるデビー・ケピティス(Debbie Kepitis)氏、シンジケートのマジックブラッドストックレーシング(Magic Bloodstock Racing)の一員ピーター・タイ(Peter Tighe)氏、リチャード・トレウィーク(Richard Treweeke)氏は、ウィンクスの交配相手候補リストを作成するために評判の高い専門家に協力してもらうことになった。
ケピティス氏は、ANZブラッドストックニュースにこう語った。「人々に意見を求めることで選択肢がもたらされ、私たちは視野を広げることができます。馬主同士で話し合う時も、"イエス"、"ノー"、あるいは"お任せする"と確信を持って言えます。私たちの中には成功した生産者はいません。たしかに私は馬を生産していますが、担当者がほとんどやってくれています。確固たる意見はありません。この驚異的な牝馬については、様々な意見を聞いたほうがフェアだと感じており、それこそが私たちが望んでいることです」。
ウィンクスを北半球の繁殖シーズンに最も優秀な種牡馬と交配させるために、海外に送り込むという案もある。その場合は、日本のディープインパクト、アイルランドのガリレオ、そしてその産駒で後継種牡馬となりうるフランケルが候補リストに入るだろう。
ケピティス氏はこう続けた。「そのような案も出ていますが、ウィンクスは繁殖1年目なので、これが海外に連れて行ける最初で最後のチャンスではありません」。
「ただジョン・カミレリ(John Camilleri)氏(ウィンクスの生産者)は、2018年にウィンクスの母ベガスショーガール(Vegas Showgirl)をディープインパクトのもとに送りました。すべての可能性が検討されるでしょう。私たちは良い点と悪い点のリストを作成し、最終決定の際の参考にします」。
海外での交配が却下されるとすれば、豪州の一流種牡馬スニッツェル(Snitzel)、アイアムインヴィンシブル(I Am Invincible)、ファストネットロック(Fastnet Rock)、ゾウスター(Zoustar)などが考慮されるだろう。しかしケピティス氏は、ファーストクロップサイアーなど実績が確認されてない種牡馬や同じ厩舎のジオータムサン(The Autumn Sun)との交配の可能性も、すぐに排除されるわけではないと述べた。
ケピティス氏は、「まず最初に議論となるのは、"ウィンクスを海外に連れて行く覚悟はあるか?"、"ウィンクスを実績のない種牡馬に送り込む覚悟はあるか?"ということでしょう。専門家にどのような基準を重視してもらうか決めなければなりません。彼らも何もないところから結論を導き出すことはできません」と語った。
クリス・ウォーラー調教師と協力関係にあるニュージーランドのエージェントのガイ・マルカスター(Guy Mulcaster)氏は、2013年マジックミリオンゴールドコースト1歳セールにおいてウィンクスを23万豪ドル(約1,840万円)で購買した。同氏もウィンクスの交配相手決定において重要な役割を担うだろう。
また、ウィンクスの馬主たちは同馬の仔をセリに上場するかそれとも手元に置いて競走させるかについても、同馬が引退して繁殖入り前の休養を取るまで決められないだろうと、ケピティス氏は語った。
同氏はこう付言した。「私たちは非常に慎重なアプローチを取ろうとしています。クリス・ウォーラー調教師、そしてタイ氏やトレウィーク氏のチーム全体で話し合わなければならないでしょう。クリスは彼女のキャリアで大きな役割を果たしました。彼の意見も検討したいと思っていますし、ウィンクスの仔を所有し続けることになれば、その仔を管理するのはクリスとなるでしょう」。
By Tim Rowe of ANZ Bloodstock News
(1豪ドル=約80円)
[Racing Post 2019年3月23日「Winx's owners to seek expert advice before finalising plans for debut mating」]