フランスのノルマンディーで7年間供用されたソルジャーオブフォーチュン(Soldier Of Fortune 父ガリレオ)は今年、出生地アイルランドに帰国してクールモア牧場の障害競走の種牡馬群に加わり、生産者の大歓迎を受けた
愛ダービー(G1)優勝馬ソルジャーオブフォーチュンは2016年、英国・アイルランドにおいて最多の種付頭数を誇る種牡馬となった。最近発行されたウェザビーズ社(Weatherbys)の繁殖牝馬報告書(Return of Mares)によれば、その種付頭数は304頭である。
平地競走で最も優秀なソルジャーオブフォーチュン産駒は、11勝のファイアファイティング(Fire Fighting マーク・ジョンストン厩舎)である。しかし、ジュベナイルハードル(G2)でのスローモーション(Slowmotion)の優勝、フランスの障害競走でのブルーアジュール(Bleu Azur)とカルリタデュベルレー(Carlita Du Berlais)の活躍が、障害競走馬の生産者が今年ソルジャーオブフォーチュンを使う後押しとなった。
ソルジャーオブフォーチュンに次いで種付頭数の多かった種牡馬3頭はすべてモンズーン産駒であり、障害競走向けに供用されている。チェルトナムフェスティバルのG1競走を制したアニーパワー(Annie Power)とスプリンターサクレ(Sprinter Sacre)の2代父がいずれもモンズーン(2012年に死亡)であることを考えれば、驚くにあたらない。
初年度産駒(今年4歳)の中から将来有望なバンパー競走勝馬アガメモン(Agamemmon)を出したゲッタウェイ(Getaway)の種付頭数は299頭。今年初年度産駒が誕生したオコヴァンゴ(Ocovango)は274頭。前述のアニーパワーの父シロッコは248頭である(訳注:バンパー競走とは、ナショナルハント競走のルールの下で施行される、障害競走馬になる予定の未出走馬による平地競走)。
また、初年度産駒が今年2歳となったフェイムアンドグローリー(Fame And Glory)の種付頭数は243頭で5位。初期の産駒からフェアリーハウス競馬場のG2優勝馬サットンプレイス(Sutton Place)を出したマーラー(Mahler)は237頭で6位だった。
これら上位6頭のうち、シロッコだけがクールモアの運営ではないグレンビュースタッド(Glenview Stud)で供用されている[訳注:ビーチズスタッド(Beeches Stud)・グレインジスタッド(Grange Stud)、キャッスルハイドスタッド(Castle Hyde Stud)はクールモアが運営する障害競走向けの牧場である]。クールモアの牧場で供用されている種牡馬では、さらに4頭の種付頭数が200頭以上に上った。ドゥーヴァン(Douvan)の父で、アイルランドに帰国したウォークインザパーク(Walk In The Park)の種付頭数は222頭。今年初年度産駒が生まれたリーディングライト(Leading Light)は217頭。チェルトナムフェスティバルの優勝馬コールハーデン(Cole Harden)やウエスタンウォーホース(Western Warhorse)の父ウエスタナー(Westerner)は215頭。初年度産駒が4歳となったアスク(Ask)は200頭である。
平地競走ではコディアック(Kodiac)が2016年に最も多くの支持を受けた。タリーホースタッド(Tally-Ho Stud)で供用されている同馬は優秀な2歳馬を出しており、ロイヤルアスコット開催で2頭の勝馬アーダッド(Ardad)とプリンスオブリア(Prince Of Lir)を送り出した。同馬の種付頭数は232頭。
コディアックに次いで平地競走で多くの種付頭数を誇った種牡馬は、昨年のリーディングファーストクロップサイアーのゾファニー(Zoffany)で208頭。同じくクールモア牧場で供用されていて来年初年度産駒がデビューするキャメロット(Camelot)は207頭である。
種付頭数が200頭以上だった種牡馬は他にもいる。ロックフェルS(G2)優勝馬スペインバーグ(Spain Burg)やプライスラッシュハードル優勝馬チティベロ(Ch'Tibello)を送り出したセージバーグ(Sageburg)は224頭。今年、ヨーマンズタウンスタッド(Yeomanstown Stud)で種牡馬入りしたグタイファン(Gutaifan)は203頭。今年デビューの初年度産駒が活躍して良いスタートを切り、生産者の期待を裏切らなかったエルザーム(Elzaam)は201頭であった。
種付頭数200頭以上の種牡馬は計16頭で、昨年より1頭多い。一方、種付頭数300頭以上の種牡馬は昨年は5頭だったが、今年はソルジャーオブフォーチュンのみである。数頭の種牡馬の種付頭数は、来年初めに発行される繁殖牝馬報告書の補足版において、やや上方修正されると見込まれる。
By Martin Stevens
[Racing Post 2016年11月20日「Soldier Of Fortune the busiest sire of 2016」]