新ブリーダーズカップ競走、G1資格得られず(アメリカ)[開催・運営]
ブリーダーズ カップ・ワールド・チャンピオンシップスは今年から賞金総額100万ドル(約1億2,000万円)のレースが3レース追加される。ブリーダーズカップ社 (Breeders’ Cup Ltd.: BCL)は、これらのレースに初めからG1格付を与えるようアメリカ・グレード競走委員会(American Graded Stakes Committee)に要請したが、同委員会はこれを拒否した。
BCLは、正式に、ブリーダーズカップ・ダート・マイル、ブリーダーズカップ・フィリー&メア・スプリント、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル・ターフの格付を要請していたが、一般的には原則として同一条件で2度施行されなければ格付の対象とならない。
同委員会は、1984年1月第1回ブリーダーズカップ7競走全てについて新設時にG1格付を認めたが、その際にはこの規則を適用しなかった。以来今年ま でに番組に追加されたのはブリーダーズカップ・フィリー&メア・ターフだけだが、このレースも1999年の初開催のときからG1に格付された。
2007年に追加されるブリーダーズカップ3競走は、モンマスパーク競馬場で10月27日土曜日施行される従来の8競走の前日に施行されるが、これらも金曜日の番組として定着するだろう。
10人構成の同委員会の事務局長、アンディ・シュヴァイガルド(Andy Schweigardt)氏は、全般的な考察と個々の競走の分析に基づいて決定を行ったと述べた。
同氏は、ジョッキークラブ提供の統計によると、アメリカでは1984年当時ブリーダーズカップの7競走以外で賞金総額100万ドル(約1億2,000万 円)以上の競走は2競走だけだったが、2006年にはブリーダーズカップ8競走以外で15競走も施行されたと述べた。
同氏は「BCLは賞金100万ドルの競走が今日の競馬においてどのように扱われるのか知りたかったのです」と述べ、委員会が2回施行を格付の条件とする というルールを重視したことも決定を左右した要素の1つであり、デルタ・ジャックポット・ステークス(Delta Jackpot Stakes G3)、アメリカン・オークス・インヴィテーショナル・ステークス(American Oaks Invitational Stakes G1)、コロニアル・ターフカップ・ステークス(Colonial Turf Cup Stakes G3)は全て賞金50万ドル(約6,000万円)以上の競走であったが2年間は格付を受けられなかったと指摘した。
シュヴァイガルド氏は、ブリーダーズカップ・フィリー&メア・ターフ競走については、委員会が1999年の新設時にこのルールを守らなかったが、その理 由は分からないと述べ、「委員会としては、ブリーダーズカップ競走を別格にして昇格させることは、100万ドルレースを施行してきた、または将来施行しよ うとする他の競馬場に対してフェアでないと思ったのです」と語った。
同氏は、ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee)が2004年に新設された3つの古馬の牝馬競走に始めからG2格付を与えた際に、アメリカ・グレード競走委員会はこれに懸念を示した 書簡を国際セリ名簿基準委員会(International Cataloguing Standards Committee)に出したが、今回そのことも考慮したと語った。
同氏は、「その懸念とはヨーロッパ・パターン競走委員会が新設競走を格付するための手続きを定めていたのに、上記3レースの格付けはその手続きをとらな いものでした。アメリカ・グレード競走委員会は、方針を変更してBLCの3競走に始めからG1格付を与えたら、首尾一貫しないことになると考えました」と 述べた。
アメリカ・グレード競走委員会は、各競走を評価しながらも、ジュヴェナイル・ターフとダート・マイルにつながる競走体系が無いことを指摘した。
シュヴァイガルド氏は、「フィリー&メア・スプリントについては、それにつながる競走体系があり、格付を考慮しても良いと感じました。しかし、他の2競 走に始めからG1格付を与えない事との一貫性について多くの意見があり、ルール適用には一貫性を持つべきだというのが私たちの結論でした」と語った。
By Jeff Lowe
(1ドル=約120円)
[Thoroughbred Times 2007年4月18日「 New Breeders Cup Races Denied Grade 1 Stakes」]