賭事広告に厳格な規程を適用（イギリス）［その他］

　新賭博法（Gambling Act）の9月1日施行にあわせて、賭事広告に関する厳格な新規程を実施する旨が3月13日に発表された。

　新規程は賭事業者が未だかつて無いほどに大々的に広告を出すことを認める一方で、とりわけ未成年者や社会的弱者を保護する必要性にかんがみ、社会的責任を果たすよう促す狙いがある。

　新規程は、広告慣行委員会（Committee of Advertising Practice: CAP）と放送広告慣行委員会（Broadcast Committee of Advertising Practice: BCAP）という2つの委員会が市民協議（public consultation）を広く行った後に制定され、広告基準協議会（Advertising Standard Authority: ASA）が実行することになる。上記のCAPは放送以外の広告の規範（code）を起草・施行する委員会であり、BCAPは広告業界・広告代理業界・放送 業界を代表し広告規範の制定・見直し・改正を行う委員会であり、またASAは広告の公正さと正確さとを監視する審査機関である。

　賭事業者は放送媒体を通して広告活動をすることができなかったが、9月からその規制の壁は取り除かれる。しかし、内容に関する厳格な規程が適用されるだろう。新規程には、以下の賭事広告の禁止が明記されている。

　＞＞ 賭博行為を煽る表現で、社会的に無責任な、また金銭的・社会的・情緒的損害を招くもの。＞＞ 児童・未成年・その他弱者の影響の受けやすさ・興味・信じやすさ・経験不足・認識不足につけ込むこと。＞＞ 賭博は仕事・学校などの問題からもたらされる孤独や絶望からの逃げ場であると示唆する表現。＞＞ 賭博は就業の代わりとなったり、安定収入をもたらす手段になるなど、経済的問題の解決策であると示唆する表現。＞＞ 賭博が人生において、たとえば家族・友人あるいは、仕事上・学業上の義務よりも不可欠で優先すべきことであるような表現。＞＞ 自己イメージ・自己評価を向上させることができ、主導権・優越性・評価・賞賛を得る手段であり、賭事が自己資質を高めることができると示唆する表現。＞＞ 賭博を行うことで仲間意識が高まり、参加しないとけなされると示唆する表現。＞＞ 賭博を行うことを誘惑や性的成功や魅力を高めることと結びつける表現。＞＞ 賭博を勇気や快活と文脈上結びつける表現。＞＞ 賭博が通過すべき儀礼であるかのような表現。＞＞ 1人で行う賭博が仲間と行う賭博よりも好ましいかのような表現。＞＞ 文化的信念や伝統を賭博や宝くじに利用する表現。＞＞ 犯罪行為や反社会的行為を容認・促進する表現。＞＞ 職務中の賭博の容認やそれを良い事のように取り上げる表現。

　CAPとBCAPの事務局は以下のように語る。

　「賭博規程の変更により博戯やゲームがイギリスでも宣伝できるようになったということは画期的事件です。最重要点は賭事広告の規制が高水準の消費者保護 を与えているということです。広告主はメディアを通すことで商品の宣伝に多くの自由を手に入れますが、それは社会的責任のあるマナーを持った広告を要求さ れるこの厳しい骨組みの範囲内であると大衆は確信できるでしょう」。

By Howard Wright

[Racing Post 2007年3月14日「Tough rules to apply on gambling advertising」]