ケンタッキーダービーの出走資格を再検討(アメリカ)[開催・運営]
今年のケンタッキーダービー(Kentucky Derby G1)には22頭の登録があったが、2頭の有力馬がグレード競走の獲得賞金額不足のため出走できなかった。
その2頭とは、イリノイダービー(Illinois Derby G2)2着馬リポーティングフォーデューティ(Reporting for Duty)とタンパベイダービー(Tampa Bay Derby G3)3着馬ディライトフルキス(Delightful Kiss)だ。
ダービー出走資格を最下位で獲得したアイムアワイルドアンドクレイジーガイ(Imawildandcrazyguy)は4着となり、馬主のルイス・ペル (Lewis Pell)氏とマイケル・アイグナー(Michael Eigner)氏に賞金10万ドル(約1,200万円)をもたらした。グレード競走の獲得賞金額ランク17位のセッジフィールド(Sedgefield) は5着となり、シルバートン・ヒル牧場(Silverton Hill Farm)に賞金6万ドル(約720万円)をもたらした。
グレード競走最高賞金額獲得馬は、優勝したジム・タフェル(Jim Tafel)氏の自家生産馬のストリートセンス(Street Sense)である。同馬は、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(Breeders’ Cup Juvenile G1)に勝ったあと、ダービーに優勝した初めての馬となった。同馬のカール・ナフツガー(Carl Nafzger)調教師は現行の出走資格方式を支持している。
同調教師は、「この方式をとらない場合、どのように出走馬を決めるのでしょうか。自分たちを利口だと思い込んでいる愚かな5名からなる委員会が決めるの では、どの馬にダービー出走資格が与えられるか判断できないでしょう。馬たちに出走馬を決めさせましょう。十分な賞金を獲得できる100のトライアルレー スがあります。十分な賞金を獲得できなければ、その馬はダービーに出走する資格はないのです」と語った。
チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)のスティーブ・セクストン(Steve Sexton)社長は、ルイヴィル競馬場とその親会社CDIは、毎年春競馬開催後にグレード競走の資格取得馬、出走枠抽選、補欠馬追加の可能性といった ダービーに関連した諸問題を見直すために会合を持っていると語り、同競馬場は、9月までに来年のダービーのための計画を作り上げるように努めていると述べ た。
同社長は、「毎年あらゆる問題点をチェックし、改善のシナリオとその側面を議論します。グレード競走の獲得賞金はいろいろです。現在、スロットマシンの 収益を注入した賞金もあります。それは獲得賞金による出走馬決定基準の本質を歪める問題をはらんでいます。それが良いのか悪いのか分かりません。しかし、 スロットマシンが競馬ファンを惹きつけるのは良いことです」と語った。
現在の出走馬決定方式は、外国馬をひきつけるのに効果的でない。セクストン社長は、欧州の調教師にとって、自分の馬のケンタッキーダービー出走可能性に ついて見通しがはっきりとしないからだと述べた。同社長は、愛国のエイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師は、2002年のケンタッキーダービーにブリーダーズカップ・ジュヴェナイル勝馬ヨハネスバーグ(Johannesburg)を出 走させたが、同年に数頭の3歳馬も出走させるつもりでいた。しかし、グレード競走獲得賞金額が十分ではなく、クラシック競走に間に合わせることができな かったと語っている。
同社長は、CDIはケンタッキーダービーに限らず競馬番組全体にさらなる国際的な参加を望んでいると付け加えた。
ダービー出走馬グレード競走の獲得賞金額ランクとダービー着順
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By Ed De Rosa
(1ドル=約120円)
[Thoroughbred Times 2007年5月26日「Annual review to consider Derby qualifying rule」]