ビアンコーヌ調教師に2年間の業務停止処分(アメリカ)[その他]
ケンタッキー州の裁決委員は、パトリック・ビアンコーヌ(Patrick Biancone)調教師に、神経を遮断する薬剤として使用できるコブラ毒のアルファ・コブラトキシン(Alpha-Cobratoxin)の所持を含む複数の罪状により、1年間の業務停止処分を言い渡した。
ケンタッキー州競馬統括機関(Kentucky Horse Racing Authority: KHRA)の調査員は、キーンランド競馬場にある同調教師の3つの厩舎を6月22日に捜査した際、コブラ毒の入った3つの薬瓶を見つけたと述べた。
コブラ毒は馬具室の冷蔵庫の中で発見され、業務停止処分は10月15日から開始予定である。
ビアンコーヌ調教師は10月5日に発表した声明の中で、調査中に多くの薬物(そのほとんどがワクチン、および注射可能薬)が冷蔵庫の中から発見されたが、どれも自身の物ではなく、同調教師は裁決委員の裁定を上訴するつもりであると述べた。
同調教師は、薬物および注射可能薬物の保管にあたり適切なラベルを付けず、州規制に違反したとして30日の業務停止処分も受けた。
KHRAは、ビアンコーヌ調教師の獣医師であるロッド・スチュワート(Rod Stewart)氏に対して、コブラ毒所持等のかどで、5年の業務停止処分を発表していた。
ビアンコーヌ調教師は、スチュワート氏のコブラ毒所持を報告しなかったかどで、さらに1年の業務停止処分を受け、これは上記の30日の処分および1年の処分と合計される。
KHRAの常務理事であるリサ・アンダーウッド(Lisa Underwood)氏は、「KHRAは、ケンタッキーの重要な産業でありスポーツである競馬における高水準の公正確保を確かなものとするために、全力を傾けました。裁決委員の裁定は、すべての賭事業者と賭事客にこの種の違反行為は容認しないという明確なメッセージを送っています」と語った。
アンダーウッド氏は事件に関するさらなるコメントは控え、ケンタッキー州の裁決委員長であるジョン・ヴェイチ(John Veitch)氏も10月5日の午前、コメントを控えるように指示されていると語った。
ビアンコーヌ調教師は、“自らコブラ毒を使用していたとか、今回厩舎で発見された薬物の存在やそれによる治療を知っていたという風評に対して、無罪を証明しようとして”、裁決委員の提案によるうそ発見器による検査を受けた。
同調教師は声明の中で次のように語った。「うそ発見器による検査は、私が潔白であることを示しました。そして、発見された(コブラ毒が入っていた)冷却器と馬房にあった薬剤その他の物が私の厩舎に置かれていたこと、そしてそれが使用されていたことを私が知らなかったことが嘘でないということを示しました。私は、名誉を取り戻し、事実と真実を明らかにするために闘います。状況が進展し、私の主張が認められることを期待しています」。
フランス出身のビアンコーヌ調教師は、フランスの1983年度代表馬オールアロング(All Along)を調教し、1983年と1984年の凱旋門賞をオールアロングとサガス(Sagace)で続けざまに制した。
ビアンコーヌ調教師は、香港で2つの禁止薬物の陽性反応を受け、10ヵ月の業務停止処分を受けたほか、1997年に同調教師の管理馬のうち20頭以上から禁止薬物が検出されたため罰金を科された後、2000年にアメリカに移動した。
By Jeff Lowe
[thoroughbredtimes.com 2007年10月5日「Biancone suspended for one year」]