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海外競馬ニュース
2007年12月13日  - No.48 - 2

馬インフルエンザ発生により判明した検疫所の問題点(オーストラリア)[獣医・診療]


 馬インフルエンザの発生に関する政府の調査が実施されており、その一環で11月19日に事情聴取が行われた。それによると、ダーレー・オーストラリア社(Darley Australia)のジョン・サンダーランド(John Sunderland)氏は、オーストラリアで初めて馬インフルエンザが発生したシドニーのイースタンクリーク検疫所のいくつかの施設は、以前から安全上の問題があり、ダーレー社とクールモア牧場(Coolmore)のいずれも、現存の施設が不十分だとして、検疫所内に彼ら専用の施設を建設していたと述べた。

 同氏は、「検疫のために入厩した私たちの管理馬にとって、快適さと安全性のレベルは、イースタンクリーク検疫所が世界中で最低です。これらの馬の価値は何百万ドルもするのだから、危険な環境で怪我をされ重大な損失が生じることが心配です。ですから、今回日本から来た馬の中で、私たちの馬については、ダーレー専用の厩舎に入れてもらいました」とその経緯を説明した。

 ダーレー社は、自社の馬がオーストラリア入りするのに自前の航空機を使用している。しかし、ダーレー社仕向けの種牡馬グランデラ(Grandera)は、クールモア牧場からリースされていた種牡馬ロックオブジブラルタル(Rock of Gibraltar)、日本軽種馬協会所有でニュージーランドのケンブリッジ牧場仕向けのストラヴィンスキー(Stravinsky)そしてアローフィールド社(Arrowfield)仕向けのスニッツェル(Snitzel)とともに、日本から民間機で輸送され、8月8日にメルボルンに立ち寄った後シドニーに到着していた。ところがこれらの馬は、メルボルン経由で到着したため、シドニーではオーストラリア検疫検査局(Australian Quarantine and Inspection Service: AQIS)の職員は健康証明書などをチェックしていなかったことが、聴取により明らかになった。

 厩務員の入国手続を行うために機内に入った税関検査官のジャンナ・ブッシアレーリ(Gianna Bucciarelli)氏は、AQIS職員との会話を証言し、「機内に入国審査を通過していない4頭の付き添いの厩務員がいると、AQIS職員に言いましたが、職員はその便はメルボルンからの国内便なので、馬の入国審査は必要ないと答えたのです」と述べた。

 今回の調査は、10月に引続いて行われた。8月に発生し4万1,000頭以上に感染した馬インフルエンザを追跡し、その原因を究明中である。予防接種プログラムは現在進行中である。

By Rachel Pagones

[Racing Post 2007年11月22日「Facilities at quarantine station a safety hazard, Darley tells equine flu inquiry」]


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