騎手の健康増進を目的とする講座の開設(アイルランド)[その他]
アイルランドでは、2005年の報告書で騎手が深刻な脱水状態にあると報告されたことを受けて、騎手のライフスタイルをより健康的なものとするため、必須教育プログラムを導入することになった。
1月1日以降、3年に1講座の出席が騎手免許交付の条件となり、年間70人の騎手をカラー(Curragh)競馬場にある競馬学校に受け入れる準備が整った。
2005年6月にカラー競馬場で騎乗していた18人の騎手に対して行われた検査の結果、騎手が高度の脱水状態になっていることが明らかになった。この日 は、一流騎手のキーレン・ファロン(Kieren Fallon)、ジョニー・ムルタ(Johnny Murtagh)およびパット・スマレン(Pat Smullen)も騎乗しており、13人の騎手が極度の脱水状態にあることが判明した。
必須講座は、騎手のライフスタイル、栄養および健康維持の問題を対象としており、スポーツ心理学、体重調整とその期間、およびそれら経済的アドバイスの分野の専門家のサービスも提供する。
アイルランド・ターフ・クラブ(Turf Club)のデニス・イーガン(Denis Egan)専務理事は、次のように述べている。「昨年、一連の1日研修会を開催したところ、反響は極めて良好でした。この結果を踏まえて、今回の拡大プロ グラムが導入されました」
「我々は、騎手が研究会により、さらに健康的な生活を送れるよう支援できるものと確信しています。」
この必須講座は、ターフ・クラブが継続実施している騎手の体重調査に関する1年前の報告書を基に設けられた。この報告書は、脱水状態で騎乗すると、後に骨粗しょう症になりがちな騎手の憂慮すべき状況について述べている。
ターフ・クラブの調査から得られたもう1つの進展は、昨年カラ競馬場で試行されたプロジェクトである。このプロジェクトは、騎手が競馬場で摂取する飲食物の選択肢を改善することを目的とし、スポーツ栄養士の特別な助言を取り入れている。
イーガン専務理事は、「選択に幅がある健康によい飲食物が、開催日に騎手に用意されました。これについてもすばらしい反響がありました」と述べている。
ターフ・クラブは、ほかの講座に対しても最適な実践モデルを提供するために先行的なプロジェクトを推し進めるだろう。
リムリック大学(University of Limerick)のジャイルズ・ウォリントン(Giles Warrington)博士とエイドリアン・マクゴールドリック(Adrian McGoldrick)博士が行った騎手の体重調査は、脱水状態が生理的・認知的機能および運動能力に与える影響を確認することを目的としている。
By Howard Wright
〔RACING POST 2007年1月27日「It’s back to school for dehydrated jockeys」〕