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海外競馬ニュース
2008年04月03日  - No.13 - 3

競馬コンソーシアムのトート社入札、却下される(イギリス)[その他]


 ゲリー・サトクリフ(Gerry Sutcliffe)スポーツ担当大臣は3月5日、トート社(Tote)の売却について、競馬コンソーシアム(racing consortium 訳注:コンソーシアムは競馬界の多数の団体からなる連合体である。なお入札にはトート社の現経営陣も参加している)からの入札[最終入札額3億2,000万ポンド(約768億円)]を却下し、トート社を公開市場で売却する声明を発表した。これにより、パリミューチュエル賭事運営者で、固定オッズも提供しているトート社の所有権の行く方はさらに混迷することになった。

 この入札のための体制が、馬主協会(Racehorse Owners’ Association)とイギリス競馬場協会(Racecourse Association)の主導でできてから、すでに13ヵ月以上経っている。

 労働党は選挙公約に2度にわたって、競馬コンソーシアムへのトート社売却を掲げていた。しかし、適切な売却方法と売却価格の決定には、文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media and Sport: DCMS)と権力のある財務省との間の合意が必要となるので、売却が遅れている。

 競馬コンソーシアムは、3億ポンド(約720億円)前後に修正された入札額を提示したが、財務省は長年の顧問であるプライスウォーターハウス・クーパーズ(PricewaterhouseCoopers)に諮り、依然として4億ポンド(約960億円)を時価と見ているようだ。

 3月5日議会に提出したサトクリフ大臣の声明文は、売却の対象や入札の開催時期を明らかにしていない。

 サトクリフ大臣は、競馬コンソーシアムとトート社の経営陣による入札額を却下することは大変残念であったと述べ、近々顧問(おそらく投資銀行)を任命して、公開市場での売却のため政府に“戦略的意見”作成の手助けをするよう求めるつもりだと明らかにした。

 “戦略的意見”は、? 売却の枠組みでは、トート社を1事業体として売却するか、または構成部門別に分けて売却するか、また、? 売却時期については、速やかに売却するか、それとも金融市場が回復して買収資金の調達に有利になるのを待つかが問題となるだろう。

 DCMSが強調しているように、競馬コンソーシアムに勝算がないわけではないが、政府は他の団体の入札への自由参加を認めなければならない。どのような形式で、またどの機関が入札を行うかはまだ決定されていないものの、売却価格の半分は競馬産業界へ還元されるとのことである。

 DCMSは、「たとえ競馬産業界が他の団体と入札で競争できなくても、商業上のリスクを全く負うことなく相当な利益を受けることになります」と述べた。

 政府の方針における微妙であるが重要で明らかな変更の1つは、サトクリフ大臣の声明の言葉に現れていた。つまり、労働党の選挙公約は、“トート社売却により競馬に利益をもたらす”とされていたが、“最優先基準は・・・納税者への価値の最大化”と変えられていた。

By Howard Wright
(1ポンド=約240円)

[Racing Post 2008年3月5日「Consortium’s bid for Tote rejected」]
[Racing Post 2008年3月6日「Sutcliffe rejects £320 bid for Tote」]


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