ベッティングショップ向け競馬放映をめぐる戦争の余波(イギリス)[その他]
カリブ諸島とスリランカへの英国競馬映像が半減
イギリス国内の競馬映像の配信をめぐるSIS社(Satellite Information Services)とターフTV社の争いが、カリブ諸島とスリランカに連鎖的に波及した。これら2地域は、英国競馬が人気を博している地域であり、同地域のブックメーカーに向けた英国競馬の映像配信については、従来SIS社からフメレラゴールド社(Phumelela Gold Enterprises)に一括配信を行ってきた。
この一括配信契約期間(3年)の終了をひかえて、両社間で契約延長交渉が行われた。交渉は、フメレラゴールド社側に、国際的に密接な提携関係を結んでいるレーシングUK社(Racing UK:反SIS系)との契約改定を来年に控えている事情もあり、不調に終わった。3月31日真夜中、SIS社はフメレラゴールド社への一括配信サービスを打ち切ったため、これら2地域のブックメーカーは、イギリスとアイルランドのブックメーカーと同じように、SIS社とターフTV社による分割配信サービスを選択(split-service choice)せざるをえなくなった。
SIS社の最高経営責任者デーヴィッド・ホールドゲート(David Holdgate)氏は、「カリブ諸島とスリランカに対するターフTV社の配信サービス立ち上げ準備が整うまで、競争相手であるターフTV社のコンテンツの配信を当社が肩代わりすべき理由はありません」と語った。
結果としてカリブ諸島とスリランカでは、アット・ザ・レーシズ社(At The Races: SIS系)系の競馬場の競走映像は引き続き見られるだろうが、レーシングUK系の競馬場の競走映像の放映は大幅に削減され、しばらくの間見られないだろう。
なお、南アフリカの競馬映像をイギリスのベッティングショップに向けて配信するサービスに関しては、2007年12月に、フメレラゴールド社とSIS社との間の独占的な契約が切れ、フメレラゴールド社はターフTV社と契約(契約期間3年)を結んでいた。
訳注: | |
(1) | SIS社…大手ブックメーカーのウィリアムヒル社、ラドブロークス社などの出資により設立された会社であり、場外ブックメーカー専門に29競馬場の映像を衛星放送で配信する。 |
(2) | ターフTV社…英国のほぼ半数の競馬場、レーシングUK社等が共同して立ち上げた。ベッティングショップに衛星放送で31競馬場の映像を配信する。 |
(3) | フメレラゴールド社…南アフリカの競馬統括機関であるフメレラ社傘下の映像配信会社 |
SIS社、BBC(英国放送協会)の外部放送部門を買収しコンテンツを充実
SIS社は4月2日、BBC(英国放送協会)の外部放送部門の獲得を完了し、そのすべての従業員をSIS社に異動させた。
ホールドゲート氏は、次のように語った。「BBCの外部放送部門の規模と領域と非の打ち所のない評判を獲得することは、千載一遇の好機であり、当社はそれを逃しませんでした」。
「進行中であったBBCとの業務関係を発展させるのと同時に、業界全体にわたって新たな事業の確立を期待しています」。
「当社は業界で最高の価値、評判、一連の作品を買収しました。これを活かすために現代的に再整備する抜本的な計画を持っています」。
「BBCの外部放送部門の事業は、わが社の他の事業と同じ分野に属していますが、ほとんど重複がなく、事業の合体により新たな市場を開拓するチャンスが生まれました」。
By Howard Wright
[Racing Post 2008年4月6日「SIS pull plug on Caribbean and Sri Lanka service」]