BHA開催日程の戦略的見直し案を公表(イギリス)[開催・運営]
英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)の開催日程の戦略的見直し案は、競馬担当理事のルース・クイン(Ruth Quinn)氏によれば、大幅な変更とはならなかったものの、秋競馬のクライマックスとなる一連の“最高級の土曜開催”が見直し案の焦点となっている。
開催日程見直しは11ヵ月にわたって行われ、4月7日に公表された。ポール・ロイ(Paul Roy)会長によれば、開催日程はこれから強化できる長所を生かし、弱点を取り除いた、競馬界全体の強い関心に対する“現実的な回答”となっている。
今回の見直し案では、障害競走を範とした業績評価(Flat Order of Merit)および秋のシーズン終了までに続く重賞をまとめて施行する最上級の土曜開催が含まれている。
BHAの最高経営責任者ニック・カワード(Nic Coward)氏の主導による検討では、開催日数の拡大に歯止めをかけることが提案された。しかし、開催日を300日削減するという当初の提案についてはほとんど問題にされなかった。
もし開催日数見直しの案が実施されれば、2008年の開催日数は、予定された1500開催日から最大で35開催日が削減され、現在の競走馬5700頭の内353頭が競走から除外されることになる。
クイン氏によれば、このたびの開催日数見直しにおいては、質の向上と収益性の改善が主たるテーマとなり、BHAとしては勧告のいくつかを2009年開催日程に組み込むこと(2年計画または3年計画の第一段階として)を望んでいるとのことである。なお、すでに発表されたように、レーティング41以下の馬は2009年の平地競走シーズンから出走することができなくなる。
クイン氏は、「イギリス競馬ビジネスモデルは、大変強固です。とはいえ、重点的に取り組むべき弱点がいくつかあります」と語った。
土曜の午後開催、日曜開催および冬期の薄暮開催の改善または削減と、低質馬の除外が、当面の主な応急措置となっている。
クイン氏は、2009年の開催日程作成プロセスにおいて処理される問題もあれば、BHAがさらに検討すべき問題もあり、また、競馬場や競馬賭事賦課公社(Levy Board:賦課公社)のような他の団体と協議する問題もあると述べた。
同氏は、土曜日の午後を“競馬のショーウィンドウ”と表現した。なぜなら、土曜日の午後開催は、全競走の70%以上が地上波テレビで放映され、普段競馬場に来る競馬ファンの3人のうち1人が来場し、賦課公社に納入される賦課金は他の開催の1.5倍であり、スポンサーからの賞金の44%を集めているからである。
しかし、今のところ開催日程見直しにおいて、賞金額と競走条件をもとに判断すると、3月、4月、5月の各1日、計3日の土曜開催は最高級の土曜開催とはいえない。そして24日の土曜開催についてはサブの競走が明らかに貧弱である。
この状況に取組むため、賞金額と競走条件に関する必要条件を満たす150日の最高級の土曜開催を決めることになろう。
クイン氏は、2006年の日曜開催46日のうち11日が最高入場者数を記録したことから、日曜開催が特定の競馬場においては極めて人気があることを認めた。開催日程の見直しの基となったほとんどのデータは2006年のものである。
同氏は、「しかし競馬開催日の売上高から見て、日曜日が1週間で最も低調な日であることに変わりはありません」と語った。
結果として、BHAは、2009年開催日程において、12月、1月、2月の各月から日曜開催を1日づつ減らすべきであると提言している。また、同期間の薄暮の平地競走開催は、競馬場と賦課公社の反論にもかかわらず、収益性と一般的興味の不足という類似した理由により、4日から3日に削減される。
その他の措置では、地域間の競合と、年によって祝日が動くことについて取組んでいる。
By Howard Wright
[Racing Post 2008年4月8日「Strategic review calls for ‘premier’ fixtures」]