海外競馬ニュース
2008年01月17日 - No.2 - 2
凱旋門賞、芝の最高賞金レースへ(フランス)[開催・運営]
2007年12月12日、カタール競馬・馬術クラブ(Quatar Racing&Equestrian Club)とフランスギャロ(France Galop)は、凱旋門賞の独占スポンサー契約(期間5年)を締結した。これにより凱旋門賞の賞金総額は400万ユーロ(約6億4,000万円)に倍増し、世界で最高賞金の芝レースに返り咲くことになる。このことについて、以下のとおりフランスギャロの事務総長ルイ・ロマネ(Louis Romanet)氏を取材した。
パリ・テュルフ紙(以下:Q): | ||
“スポンサーであったバリエール(Barrière)の撤退”で、フランスギャロが不確実な状況に陥ったように見えましたが・・。 | ||
ルイ・ロマネ事務総長(以下:A): | ||
凱旋門賞の賞金は、バリエール・カジノグループ(Lucien Barrière Hotels & Casinos)が100万ユーロ(約1億6,000万円)、フランスギャロが100万ユーロ(約1億6,000万円)を拠出していました。バリエールとのスポンサー契約の更新をやめるにあたり、私たちは事前にエドゥアール・ド・ロートシルト(Edouard de Rothschild)会長とスポンサー契約の交渉条件を協議し、販売促進、広報活動、レセプションなど付随的な分担金を除き、少なくとも200万ユーロ(約3億2,000万円)を支出してもらうことを条件とすることを決定していました。この条件は凱旋門賞の地位にふさわしいものでありますが、言うまでもなくスポンサーになることに関心のあった多く企業にとっては障害となりました。 | ||
Q: | カタールはどのような動機からスポンサー権獲得を目指したのでしょうか? | |
A: |
カタールは、ロンシャン競馬場にアラブ種の大レースを定着させることを強く望んでいます。カタールは2006年、同競馬場でフレンチ・アラビアン・ブリーダーズカップ・クラシック(French Arabian Breeders’ Cup Classic)を新設し、同日のムーラン・ド・ロンシャン賞(G1)のスポンサーとなりました。 このカタールとフランスギャロの初めての提携は、アラブ競走馬協会(Association du Cheval Arabe de Course)のジャン=ピエール・ド・ガステ(Jean-Pierre de Gasté)会長により立ち上げられました。新設レースは、賞金額8万ユーロ(約1,280万円)と、従来のアラブ種レースとは段違いの世界最高額であり、また、アラブ種の重要レースであるイスタンブールのマラズギルト杯(Malazgirt Trophy)と肩を並べているだけに、この提携はカタールを満足させ、今回の大飛躍につながったのです。フランスギャロとカタールの交渉は、2007年の凱旋門賞の翌日に再開され、12月12日にアブドラ・アール=サーニー(Abdullah Al Thani)殿下のフランスに対する特別な思い入れを反映する形で、私たちの契約は最終的に成立しました。同殿下は、フランスに別邸をお持ちで、ご令息がサン=シール(Saint-Cyr)士官学校で研修をしています。 |
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Q: | 予想以上のことが実現したと言えますか? | |
A: | 大変満足しました。世界最高賞金のアラブ種レース(推定36万ユーロ(約5,760万円))と世界最高賞金であるサラブレッドの芝レースを、同じ日に開催することが目標でした。結局、カタールから凱旋門賞のために交付される額は300万ユーロ(約4億8,000万円)になりました。スポンサー契約は5年間であり、アラブ種の遠征の受け入れなどを含む付随的な提携を考慮すれば、総額1,800万ユーロ(約28億8,000万円)に及ぶでしょう。ですから、フランスは現地の競馬と生産を発展させるというカタールの野心的な目標の実現に向けて、貢献しなければなりません。 | |
Q: | 明らかにカタールは世界中の注目を浴び、存在感を高めるのではないでしょうか? | |
A: | 凱旋門賞の直後のレースとして、カタール・アラビアン・ワールドカップ(Qatar Arabian World Cup)が計画されています。これまでのカドラン賞は前日の土曜日に移動します。また、金曜日のサンクルー競馬場の番組では、国際的な競馬の祭典の開幕を盛り上げるために、アラブの優良馬を招待した3つのレースを予定しています。また、凱旋門賞の前哨戦であるヴェルメイユ、ニエル、フォア賞に冠するスポンサー名は、バリエールからカタールに変わることになります。私たちは、スポーツに顕著な投資をしているカタールのイメージ向上に協力できることを誇りに思います。ちなみに、カタールは、2006年にアジア競技大会を開催し、2009、2010、2011年の女子テニスマスターズの開催国で、2016年のオリンピックの開催候補国です。2006年、カタールはアラビア半島で初めて女性騎手の競馬の開催を組織し、国際アマチュア騎手連合(Federation Internationale des gentlemen-riders:Fégentri)の2008年度年次会議開催国として立候補しています。 |
By Gérard de Chevigny
(1ユーロ=約160円)
[Paris Turf 2007年12月14日「L’Arc retrouve la première place」]