トート社、新種馬券スウィンガーに自信満々(イギリス)[開催・運営]
トート社(Tote)は、6月19日から新商品“スウィンガー(the Swinger)”馬券を売り出す。同馬券は、3着までの馬のうち、着順を問わず2頭の馬を選択するいわゆる“ワイド馬券”である。
この馬券は、長年にわたって海外のエキゾチック馬券購入者に人気があり、南アフリカの賭事市場においては40%を占めている。トート社は、特に初心者、新規顧客、女性顧客をひきつけ、競馬場で人気商品となると予想しており、同社の最高経営責任者トレバー・ボウモント(Trevor Beaumont)氏は、「これは、海外で実績のある馬券であり、たとえ1着馬を的中させなくても賭事客に払戻しのある複勝馬券(Placepot)と同じ理屈と心理を利用しています」と述べた。
スウィンガーは、ロイヤルアスコット開催に合わせて発売されるが、6月19日からイギリス国内の出走馬6頭以上のレースすべてで購入可能である。トート社で発売される同馬券の最低賭金は、場外で10ペンス(約24円)、場内で50ペンス(約120円)である。
イギリス競馬の熱心な支持者である南アフリカの賭事運営業者フメレラ社(Phumelela)は、この馬券の発売当初から賭事プールに参加する。払戻しはウィリアムヒルズ社(William Hill’s)が発売当初から協力することになっている。
ボウモント氏は、「トートダイレクト社(Tote Direct)の最大の共同出資者の1社であるウィリアムヒルズ社にスタート当初から協力してもらうことは重要です。トート社はすでにフメレラ社と世界的に提携していますし、これは当社が海外賭事業者とより多くの事業を営みたいという願望の現われです」と語った。
スウィンガーは、コーラル社(Coral)、ベットフェア社(Betfair)、ベット365社(Bet 365)のようなトート社の主要な提携会社を通して、インターネットでも発売されるだろうが、コーラル社の店舗で発売されるまでまだ時間がかかると見られている。ラドブロークス社(Ladbrokes)は待ちの戦術を取っている。ベットフレッド社(Betfred)は電子決済システム(EPOS system)における技術的理由により、スウィンガーを発売しないようだ。他の独立ブックメーカーのほとんどは残念ながら技術導入が必要となるが、トート社はこれらのブックメーカーのためにインターネットをベースとした解決法を開発中である。
ボウモント氏は、この新種馬券のについて特に売上げ目標を定めているわけではないと述べ、「スウィンガーの発売対象レース数は出走頭数などによって変化しますが、同馬券が新たな収入を生み、連勝単式馬券(Exacta)などの売上げを減らすことはないと確信しています」と付言した。
同馬券の強力な販売促進キャンペーンが、ロイヤルアスコット開催とグロリアス・グッドウッド開催との間に展開されている。
ボウモント氏は、「スウィンガーは1999年のスクープ6(Scoop6 6重勝馬券)馬券の発売以来、トート社が導入する全く新しい種類の馬券です。スウィンガーの発売で1レースを対象に発売される一連のエキゾチック馬券[連勝単式馬券と3連勝単式馬券(Trifecta)]は完全なものとなります。そしてその事実を考慮して控除率は他の2馬券とバランスをとって26%としました」と述べた。
現在、連勝単式馬券の控除率は24%で、また3連勝単式馬券の控除率は29%である。
ボウモント氏は、新たな馬券の発売には技術の改善と新しいシステムを導入する必要性からかなりの時間を費やしたことを認めたが、次の新種馬券はより迅速に導入できる見込みであると述べた。
同氏は、「当社の内部的なネットワークとシステムを整備したので、新しいアイデア(スウィンガー)の実現が容易になりました。スウィンガーは、当社が今後1年間に発表する新種馬券の第1号となるでしょう」と語り、「スウィンガーは新しい収入を生み、たとえば連勝単式馬券から著しく魅力を奪うことはないと確信しています」と付け加えた。
By Howard Wright
(1ポンド=約240円)
[Racing Post 2008年6月13日「Tote confident of hit with new bet next week―the Swinger」]