賦課金が過去最高の1億1650万ポンドに到達（イギリス）［開催・運営］

　賭事産業の競馬への貢献は、賭事産業からの粗利益に対する賦課金の形をとって行われている。2007-08年度の賦課金は、春先に予想された1億2000万ポンド（288億円）の大台には達しなかったものの、1億1650万ポンド（279億6000万円）という過去最高記録を実現した。

　ブックメーカー、トート社（Tote）、ベッティング・エクスチェンジならびに各地に展開する賭事業者から最終計算結果が集められ、先週の競馬賭事賦課公社（Levy Board: 賦課公社）役員会に報告され、6月19日に公社から公表された。

　公表によると、2007-08年度の賦課金額は、2006-07年度より17.4％増加し、2003-04年度の1億1070万ポンド（265億6800万円）という過去最高記録を5.2％上回っており、2000-01年度の5940万ポンド（142億5600万円）の2倍近い。

　2007-08年度の賦課金額は、2007年夏にブックメーカーが示した予想額、約8550万ポンド（205億2000万円）をはるかに上回るものとなっている。賦課公社のロブ・ヒューズ（Rob Hughes）理事長はこの予想額を“極めて悲観的なものでした”と表現した。なお、この賦課金額にはトート社からの約900万ポンド（21億6000万円）が含まれている。

　ヒューズ理事長は「一部の人の予想を下回ったものの、大半の人の予想を大幅に上回りました」と述べ、2007-08年度の収益を歓迎した。

　当初、賦課公社は賞金補助金を、収益見込み8550万ポンド（約205億2000万円）に基づき、2007年の5500万ポンド（132億円）から今年は4950万ポンド（118億8000万円）に削減した。しかし、4月になって公社は、2008年の賞金補助金を13.5パーセント引き上げ5620万ポンド（134億8800万円）とすると決定し、7月1日から増額した。これは暦年ベースでは6250万ポンド（150億円）となり2006年の記録に相等する額である。

　また公社は、各競馬場が安定的な経営計画を立てる余裕を持てるよう、2009年から2011年までの年間賞金補助金額の下限を6500万ポンド（156億円）と設定した。ただし、この決定は賭事産業から十分な賦課金が得られる場合にのみ実施されるという条件付きである。

　ヒューズ理事長は6月19日、この付帯条件について次のように述べた。「その当時私は、向こう3ヵ年の補助金増額は、賭事業者と競馬界との間で賦課金に関する長期協定がまとまることが前提条件だと述べましたが、この点は今でも変わりありません。賦課公社は5年協定という理想に向かって引き続き努力しており、2009-10年度の賦課金計画の決定期限である10月31日まで、残り時間は刻々と減少しています」と述べた。

　理事長は、公社とブックメーカー委員会が、粗利益の10パーセント控除に重点を置きつつ、現行計画の1年更新の合意に向けて努力していることを明らかにし、次のように語った。

　「すべては競馬と賭事との関係を見直すためのスポーツ大臣の働きかけに要約されますが、これは大きな問題です。英国競馬統括機構（British Horseracing Authority）にはブックメーカーに提起したいことがたくさんあり、ブックメーカーも独自の問題、特にターフTV社（Turf TV）に係る問題を抱えています。映像権に関する訴訟の決着は今秋以降になるでしょう。昨年もそうでしたが、大臣が介入して下す決断は関係者全員にとって非常に良くないことは誰もが認識しています。ですから、単年取引で手を打たざるを得ないでしょう。だからと言って、長期協定を目指していないということではありません。実際、われわれはその重要性を説いているのであり、長期の問題を検証しつづける一方で、短期の問題への調整を見出すという2本立てのアプローチを取っています」。

By Howard Wright
（ポンド＝240円）

［Racing Post 2008年6月20日「Levy reaches record high of £116.5m」］