馬インフルエンザ沈静化、競馬産業始動(オーストラリア)[獣医・診療]
オーストラリアでの馬インフルエンザ流行は食い止められ、早期撲滅に向かっている。
オーストラリアの獣医局長アンディ・キャロル(Andy Caroll)博士は、ニューサウスウェールズ州とクィーンズランド州の獣医当局が取組み、功を奏した規制とオーストラリアの競馬界とすべての馬主がとった行動のおかげで、馬インフルエンザは抑制され、競走馬のほとんどは完全に回復したと述べた。
キャロル博士は、「2007年10月から11月にかけてインフルエンザに汚染された施設は数万箇所にのぼりましたが、現在は1,000箇所以下しかありません。これは私たちのインフルエンザとの闘いが大いに功を奏したことを示しています」と述べた。
汚染されている施設の数は急速に減り続け、2007年12月22日以降、新たなインフルエンザの発生は確認されていない。
同博士は、「この成功により徐々にリスクのない馬は国内を自由に移動できるでしょうし、ワクチンの併用によって、セリや他のイベントに自由に参加することができるでしょう。このことは、オーストラリアの競馬産業と馬術を始動させうえで大きな発展です」と語った。
特筆すべきことは、オーストラリアの競馬産業が、優良馬を数多く上場する1歳馬セリを例年どおり開催する予定であると発表したことである。
オーストラリアの輸出再開のための家畜衛生条件の取り決めについては、オーストラリア生物安全局(Biosecurity Australia)とオーストラリア検疫検査局(Australian Quarantine and Inspection Service)が日本、シンガポール、香港、ニュージーランド、イラン、南アフリカおよびアラブ首長国連邦と交渉中である。
既に、マカオは馬の輸入に関する家畜衛生条件を修正し、フィリピンはマジックミリオン社とウィリアムイングリス社(the Magic Millions and William Inglis sales)のセリにおける購買馬の輸入に関する家畜衛生条件に同意した。オーストラリア馬の調達範囲の拡大を可能にする、フィリピンとの家畜衛生条件の交渉は現在進行中である。
アメリカ、イギリス、オランダ、ベルギー、アイルランドおよび韓国は、オーストラリアにおける馬インフルエンザ発生前の家畜衛生条件によって、オーストラリアからの馬輸入を継続している。
キャロル博士は、すべての馬競技ファンにとってインフルエンザの流行を抑制していることは良いニュースである一方で、生物安全の大原則と移動規制の厳守は、今でもなお馬インフルエンザを成功裏に撲滅させる重要事項であると語った。
同博士は、「私たちは馬インフルエンザとの闘いに勝利しつつありますし、馬インフルエンザは以前予想していたよりも早くに撲滅できるだろうと徐々に楽観的になっています。しかし、1人が間違った処置をすれば大打撃をうけることもあります」と付言した。
[Press release by Australian Chief Veterinary Officer 2008年1月18日「Australian horse industries back on track」]