騎手協会、テレビ会議システムを使った事情聴取を要求(イギリス)[その他]
騎手協会(Professional Jockeys’ Association: PJA)は先週行われた年次総会において初のテレビ会議を成功させた。同協会はこの成功を受けて、裁決委員の裁定に対する不服申し立ての手続きについて、遠隔地の騎手の証言をテレビ会議システムを使って聴取するよう、英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)に強く要請している。
PJAは、懲罰委員会がロンドンのBHA本部でしか事情聴取を行わず、多くの騎手はそれに臨むために1日をふいにしてしまうため、彼らは軽い騎乗停止に関しては不服申し立てを回避していると主張した。
ドンカスター競馬場(主会場)、サンダウン競馬場およびニューベリのPJA本部を結んで、PJAの年次総会をテレビ会議システムで実施する事が可能になったことから、将来の騎手に対する事情聴取のモデルとなるものと期待されている。
PJAのジョシュ・アピアフィ(Josh Apiafi)理事長は、「私たちは初めて他の競馬場にまたがって一緒に議論することで、全ての騎手がドンカスター競馬場の年次総会に参加し、討議内容を理解することができました。私たちは会議設備を設置し、私のパワーポイントでの発表はニューベリのPJA本部とサンダウン競馬場に流されました。もしチェプストウ競馬場が参加するのなら、そこにも流すことができるでしょう。これは双方向で、ユーロヴィジョン[Eurovision 訳注:欧州放送連合(European Broadcasting Union)が提供している世界最大のスポーツやニュース中継の配信サービス]に似ていて、騎手たちは遠隔地からの投票もしました」と述べた。
「私たちは、これを遠隔地からも事情聴取ができる一例としてBHAに見せたいと思います。現在のところ、騎手は1日の騎乗停止を申し渡された場合、上訴するとさらにもう1日費やさなければならないので、上訴しないことがあります。しかし、遠隔地の競馬場や裁決委員室から証言することができたなら、話は別です」。
「遠隔地からの事情聴取については、ウェブ画像カメラやスカイプ(訳注:無料IP通話)のような技術の出現により、簡単にできるようになりました。BHAの方では数年前から検討しているそうですが、今回のPJA年次総会によって実用性が証明されました。競馬場の裁決委員室に必要なテレビ会議システムを設置すれば、BHA本部で行われるのと同様に事情聴取できます」。
「裁決委員の裁定に対する不服申し立てにより、実際に起こった騎乗違反に対し、公平な判定がなされるべきです。私たちは、BHAの免許登録・基準担当理事トニー・グッドヒュー(Tony Goodhew)氏および有給裁決委員ウィリアム・ヌンネリー(William Nunneley)氏と定期的に話し合いをしており、テレビ会議システムを使った事情聴取が行われることを期待しています」。
以前ノーザン・レーシング・グループ(Northern Racing group)の社長であったロッド・ストリート(Rod Street)氏は、PJAの非常勤会長に就任して以来、初めて年次総会に出席した。
BHAの広報担当ポール・ストラサーズ(Paul Struthers)氏は、「私たちはテレビ会議システムを使った事情聴取手続きについてPJAと話しましたし、検討グループはこれについて発表もしました。興味深いことです。証言者がちょっと証言をするのに遠方から足を運ばなければならない場合は適用できるでしょう。来年には試行するつもりです」と語った。
アピアフィ理事長は、そのほか、PJAの団体スポンサー獲得の取り組みに関する最新情報や、イギリス馬主協会(Racehorse Owners’ Association: ROA)との騎乗料金体系の交渉の進捗状況について説明し、また、常勤アドバイザー医師候補者との面接が完了したと述べた。
By Jon Lees
[Racing Post 2008年9月17日「Jockeys press for chance to appeal bans via video link」]