2008年の売上げ、記録的減少となる模様(アメリカ)[開催・運営]
不況と競馬自体の困難な状況が重なって、2008年のサラブレッド競馬の馬券売上げはこのままのペースでいくと記録的な減少となる模様である。
全米サラブレッド競馬協会(National Thoroughbred Racing Association: NTRA)とエクイベース社(Equibase Co.)は10月9日、2008年の9ヵ月間の売上げ額が前年同期間と比較して5.75%減少することを示す数字を発表した。もしこの趨勢が年末まで変わらず続くと、サイマルキャスト賭事が始って以来では最大の馬券売上げの減少率を記録することになり、金額では8470万ドル(約93億1700万円)の減少となる。
1980年以降、年間売上げの前年比減少率が大きかったのは2005年の3.6%と1986年の5.1%であった。1980年以降、馬券売上げ統計が前年比で減少したのは7回だけである。しかし、7回の売上げ減少のうち4回は2004年以降であった。
デルマー、サラトガの両競馬場の主要開催を柱とする2008年第3四半期は、前年同期と比較して9.85%の売上げ減少となった。
今年の夏のガソリン価格の急騰や一般経済情勢の悪化は周知のことであるが、競馬自体もまた問題を抱えている。
在宅投票を好む賭事客は、1つのサイトから全競馬場のレースに賭けることができない。チャーチルダウンズとコールダーをはじめいくつかの競馬場でのホースマンの訴訟がそれらの競馬場映像の電話投票賭事(advance deposit wagering)への利用を妨げた。そのほか、競走馬の福祉や安全の問題についてマスコミに叩かれたこともあった。
NTRAの最高経営責任者アレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)氏は、「厳しい経済情勢やその他の要因が今年の夏の間も絶えず事業に悪影響を及ぼし、競馬産業にとって困難な年となりました」と語った。
2008年の賞金総額は第3四半期に2.37%減となり、開催日数は1.29%減少した。9月30日までの9ヵ月間で賞金は0.04%、開催日数は0.87%それぞれ減少した。
By Frank Angst
(1ドル=約110円)
[thoroughbredtimes.com 2008年10月9日「Handle on pace for record decline in ‘08」]