ブックメーカーは不況を乗り越える(イギリス)[その他]
ダブリンを拠点とするデイヴィー・ストックブローカーズ社(Davy Stockbrokers)の報告によれば、現下の不況は1990年代より深刻であるが、ブックメーカーにはそれを乗り越える体力があるとのことである。
パディパワー社(Paddy Power)、ウィリアムヒル社(William Hill)、ラドブロークス社(Ladbrokes)のような大手ブックメーカーは、1990年代初めよりもベッティングショップの立地条件の改善や、ビジネスモデル(企業の収益を獲得するための方策・戦略)の多様化が進んでいるので、不況下でより強固な防御策を取ることができるだろうと同社は報告している。
2009年のベッティングショップでの売上げ(新規店を除く既存店ベース)について、ブックメーカー全体は少なくとも3%減少する中で、パディパワー社は1.3%増加すると予想している。これと対照的に、ラドブロークス社は23.9%減少、ウィリアムヒル社は14%減少すると予想している。しかし報告は、後者の2社についても、インターネット賭事の展開によって、ベッティングショップの売上げ減少は幾分打ち消されると述べている。
イギリスの1991年の不況において、ウィリアムヒル社の売上げは7〜8%減少し、利益は20%落ち込んだ。デイヴィー社の報告は、「1991年の出来事が繰り返されるのか?当社の予想では、これらブックメーカー3社の売上げは、減少する恐れがある。このような局面で、ウィリアムヒル社は配当を出せるか試されるだろう」と記している。
デイヴィー社は、ウィリアムヒル社にはアイルランドで経営を拡大するチャンスあると見ている。ただし、アイルランドでベッティングショップに固定オッズ投票端末(Fixed Odds Betting Terminals: FOBT)の導入を許可する法改正が実現することが前提なのだが。
パディパワー社の広報顧客担当マネージャーであるケン・ロバートソン(Ken Robertson)氏は10月2日、「私たちはデイヴィー社の報告を必ずしも信頼しているわけではありませんが、もしその見込みどおりに当社が現下の不況を乗り越えることができれば嬉しいことです」と述べた。
同氏は、「アイルランドの賭事産業は最も良い時期にあります。競争環境は大変厳しいのですが、賭事売上げが減少することはなかったのです」と付言した。
By David Lawrence
[Racing Post 2008年10月3日「Report backs bookies to beat a recession」]