バードストーンの劇的な運命は 種牡馬入り後も続く(アメリカ)[その他]
バードストーン(Birdstone)は、競走現役時代に数々のドラマを演じてきたが、引退後も若い種牡馬として、ケンタッキーダービー(G1)で大胆な勝利を収めたマインザットバード(Mine That Bird)を世に送り出し、劇的なドラマを演じ続けている。
バードストーンは、2004年に3冠を狙うスマーティージョーンズ(Smarty Jones)から最終戦ベルモントS(G1)の勝利を奪い取ったことで最もよく知られている。3歳シーズン終了後に種牡馬入りしたバードストーンは、その 初年度産駒からケンタッキーダービー勝馬が出たことにより、エリート種牡馬に仲間入りした。過去13年間に、アンブライドルド(Unbridled)、マ リアズモン(Maria’s Mon)、ディストーテッドヒューモア(Distorted Humor)およびストリートクライ(Street Cry 愛国)が初年度産駒からダービー勝馬を輩出している。バードストーンの父は、1996年ダービー勝馬のグラインドストーン (Grindstone)で、祖父はアンブライドルドである。
バードストーンの種付料は、2005年に種牡馬入りした当時の1万ドル(約100万円)から変更されてない。同馬は3歳シーズンでは、ベルモント S(G1)のほかにトラヴァーズS(G1)でも、オーナーブリーダーのメアリールー・ホイットニー(Marylou Whitney)氏と殿堂入り調教師ニック・ジトー(Nick Zito)氏に忘れられない勝利をもたらした。
ホイットニー氏は、種牡馬となったバードストーンを引き続き所有し、レキシントンのゲインズウェイ牧場に繋養している。
ホイットニー氏の夫であるジョン・ヘンドリクソン(John Hendrickson)氏は次のように語った。「バードストーンは私たちにとってかけがえのない馬です。メアリールーも私も彼を信じています。彼が活躍 するのは嬉しいですが、それは賞金を稼ぐからではなく、いつも素晴らしい走りをしていたからです。バードストーンはスマーティージョーンズの3冠達成を阻 んだことで有名ですが、大変優秀な競走馬であったことが忘れられがちです。彼が多くのドラマを生み、今でもそれが続いていることは愉快なことです」。
バードストーンは、2歳のときにサラトガ競馬場でデビュー戦を制し、出走3回目でシャンペンS(G1)を優勝した。同馬にとって特別な意味を持つベルモ ントSでのオッズ37倍の勝利の後、ジトー調教師は同馬をトラヴァーズSに向けて調教することを決心し、同馬は激しい雷雨に見舞われる前のサラトガ競馬場 の暗い空の下、同競走の優勝を勝ち取った。
ヘンドリクソン氏とホイットニー氏は5月2日チャーチルダウンズ競馬場で、マインザットバードがオッズ51.6倍で大勝利を収めるのを目撃した。
ヘンドリクソン氏は、「メアリールーは呆然とし泣き出しました」と述べた。
2人はダービーの夜にバードストーンを訪ね、馬房の前にケンタッキーダービーゆかりの赤いバラの花束を置いた。
バードストーンはまた、(1) 2008年テンプテッドS(G3)の勝馬リビンラビン(Livin Lovin)、(2) 多数のステークス競走を制したテキサスバードストーン(Texas Birdstone)および、(3) ホイットニー氏が自身の牧場で生産し、ケンタッキーオークスでレイチェルアレクサンドラ(Rachel Alexandra)の2着であったストーンレガシー(Stone Legacy)を輩出している。
ケンタッキーダービー終了時点で、バードストーンは産駒の獲得賞金281万5524ドル(約2億8155万円)で供用2年目の種牡馬ランキングの5位に入った。
バードストーンは2008年63頭の繁殖牝馬に種付けした。同馬が最も数をこなしたのは繋養1年目の2005年で102頭に種付けし、2007年には97頭に種付けした。同馬は2009年春もまたこの程度の数の種付けを行うだろう。
ヘンドリクソン氏は、「バードストーンの種付料は格安の1万ドル(約100万円)ですので、いつも優良な繁殖牝馬に種付けをしているわけではありませ ん。私たちはその点は理解しています。彼は自身の遺伝子を強く出しているように思います。ダービー以降、彼に多くの関心が高まりました。種付予約はいっぱ いになるでしょうが、欲得づくでオーバーワークさせる積もりはありません」と語った。
ゲインズウェイ牧場は2004年に年度代表繁殖牝馬となったバードストーンの母馬ディアバーディー[Dear Birdie 父馬ストームバード(Storm Bird)]も繋養している。同馬は2003年最優秀3歳牝馬バードタウン(Bird Town)を輩出しており、現在はヘンドリクソン氏によると最後の産駒となるストリートクライの子(牝馬)を宿している。
ヘンドリクソン氏は、「彼らは華麗なる一族です」と付言した。
初年度産駒がケンタッキーダービーを制した種牡馬 |
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年 | 勝 馬 | 種 牡 馬 |
1935 | オマハ(Omaha) | ギャラントフォックス(Gallant Fox) |
1949 | ポンダー(Ponder) | ペンシブ(Pensive) |
1953 | ダークスター(Dark Star) | ロイヤルジェムII(Royal Gem II) |
1956 | ニードルズ(Needles) | ポンダー(Ponder) |
1996 | グラインドストーン(Grindstone) | アンブライドルド(Unbridled) |
2001 | モナーコス(Monarchos) | マリアズモン(Maria’s Mon) |
2003 | ファニーサイド(Funny Cide) | ディストーテッドヒューモア(Distorted Humor) |
2007 | ストリートセンス(Street Sense) | ストリートクライ(Street Cry 愛国) |
2009 | マインザットバード(Mine That Bird) | バードストーン(Birdstone) |
By Jeff Lowe
(1ドル=約100円)
[Thoroughbred Times 2009年5月16日「Birdstone’s dramatics continue as a stallion」]