ブックメーカー、賭事税引き上げ延期に 一安心(アイルランド)
アイルランド・ブックメーカー協会(Irish Bookmakers’ Association: IBA)のシャロン・バーン(Sharon Byrne)氏は、5月1日実施予定であった賭事税の2%への引き上げ(現行1%)が土壇場になって延期されたことを歓迎した。
もっと時間をかけて賭事産業全体を検討するため、政府は賭事税率の引上げ実施を延期した。検討事項には、大きな収益性が期待でき、近年急激に増大している海外賭事事業[訳注:国外からアイルランドの居住者に向けて賭事営業すること]への課税問題が含まれている。
財政法案は現在、アイルランド議会の委員会で審議されている。委員会審議の段階では法案を修正できることになっており、法案の賭事税に関する施行日は、「財務大臣が省令で定める日に施行する」と修正された。
アイルランドのベッティングショップ1248店の60%が加入しているIBAのバーン氏は、「これは朗報であり、私たちは一安心しました」と述べた。
同氏は次のように続けた。「法案が成立すれば、多くのベッティングショップが廃業に追い込まれるのに、法案の是非の検討が不十分でした。政府が賭事税率 の引き上げを打ち出したのは、税収増のための条件反射的な行動であると言わざるを得ません。賭事産業全体が十分に検討されなければなりません」。
「ブライアン・レニハン(Brian Lenihan)財務大臣は賭事産業全体の見直しを命じ、司法省はそれを手助けします」。
見直しの第1段階では、アイルランドで運営されているカジノや個人メンバークラブが欧州の反マネーロンダリング規制を遵守しているかその状況を確認する。第2段階では、ブックメーカー事業のインターネット賭事と店舗での賭事に関する立法を検討する。
バーン氏は税率の倍増によるベッティングショップの“全滅の恐れ”を警告しており、賭事産業全体をカバーする“統一法の制定”を模索している。
同氏は、「私たちは賭事の各分野それぞれに対する免許制度による規制を提案しており、それによりベッティングショップ分野だけでも4300万ユーロ(約 55億9000万円)の手数料収入を見込めるでしょう。インターネット賭事のようなものが議論の的になる前であれば、これがベースになるのでしょうが」と 語った。
アイルランド証券取引所においてパディパワー社(Paddy Power)の株価は、年次総会の後の5月14日の終値14.99ユーロ(約1949円)から、19日の終値17.10ユーロ(約2223円)まで上昇し ており、同社の一株あたりの配当は10%以上増加した。ラドブロークス社(Ladbrokes)とウィリアムヒル社(William Hill)も今年、数百万ユーロまでの利益拡大が期待されている。
By Brian Fleming
(1ユーロ=約130円)
[Racing Post 2009年5月20日「Irish bookies ‘breathe again’ after tax U-turn」]