TOPページ > 海外競馬ニュース > ベットフェア社の米国でのベッティング ・エクスチェンジ提供への展望(アメリカ)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2009年06月18日  - No.24 - 3

ベットフェア社の米国でのベッティング ・エクスチェンジ提供への展望(アメリカ)[開催・運営]


 ロンドンを拠点とする賭事複合企業ベットフェア社(Betfair)の役員は、米国を含む世界規模でベッティング・エクスチェンジを提供することを望ん でいるが、当面、米国での活動は最近買収した競馬ネットワークのテレヴィジョン・ゲームズ・ネットワーク社(Television Games Network: TVG)の強化に焦点を当てると語った。

 ベットフェア社のスポーツ部門の取締役であるグレッグ・ニコルズ(Greg Nichols)氏は、世界規模のベッティング・エクスチェンジ事業に米国を取り込むことが同社の目標であると表明した。ベッティング・エクスチェンジ は、スポーツ、政治、映画のアカデミー賞のような娯楽イベントやテレビのリアリティー番組のさまざまな結果について、賭事客同士で直接に(一方は勝つこと に他方は負けることに)賭けを行うことを可能にする賭事システムであり、その是非について議論が続いている。

 また、ベットフェア社の役員がカリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board: CHRB)の3月の会合において明らかにしたように、ベッティング・エクスチェンジは英国において、まずいくつかのイベントを対象にし、そのあと競馬も対 象とするようになった。

 ニコルズ氏はまた、オレゴン州競馬委員会(Oregon Racing Commission: ORC)の2月の会合において、ベットフェア社の計画を明らかにした。ORCは、TVG[ベットフェア社が1月に5000万ドル(約50億円)で買収し た]など国内の大手の電話投票賭事業者を規制している。

 最近ニコルズ氏は本誌の電話インタビューに対して、英国オフィスから次のように答えた。「当社の究極の目標は、世界規模でベッティング・エクスチェンジ を提供することです。米国だけが目標ではありません。米国では手始めにパリミューチュエル賭事に限定しています。当社はパリミューチュエル賭事とベッティ ング・エクスチェンジを提供するために、さまざまな競馬統括機関との関係構築に積極的に努めてきました」。

 同氏は、「米国でベッティング・エクスチェンジ事業を展開する予定はありません」と述べた。ベットフェア社はベッティング・エクスチェンジ事業の規模 を、顧客数が複数の国に200万人以上で、1日あたり取引数600万回と説明している。インターネット・カジノ賭事も盛んに提供しているベットフェア社で はあるが、米国の居住者からの賭事は現在のところ受け付けていない。

 ニコルズ氏は、英国競馬公社(British Horse Racing Board: BHB)のCEOおよびオーストラリアの競馬統括機関レーシング・ヴィクトリア社(Racing Victoria)の部長を務めた経歴を持つ。同氏は、「今後大きな展開があるでしょう。無論、そのための条件が整うことが必要ですが・・・」と述べた。

 その代わりに、ニコルズ氏は、ベットフェア社は、米国への進出にはTVGに焦点を合わせており、当面ベッティング・エクスチェンジについて許可を求めることはないと述べた。

 同氏は、「ベッティング・エクスチェンジは当面の優先課題ではありません。なぜなら優先課題は、当社の望む方向にTVGが運営されること、そしてTVG の買収時に希望していたように、競馬への関心を高め競馬産業に利益を還元することなのです。それが優先されるべきことです」と述べた。

 ニコルズ氏は、「当面の目標はTVGへの投資を成功させることです。具体的には、良質のサービスを提供し、顧客を大切にし、願わくば競馬愛好者のために 一箇所で用の足りるポータルサイト(インターネット上の受付窓口)あるいはテレビ局として拡大させることです」と語った。

 同氏は次のように続けた。「私が国際的な競馬会議に出席してきた約20年間ずっと、24時間放送の国際競馬チャンネルについて議論がありました。競馬界 の多くの人々は次回の会合でも相変わらず議論が繰り返されると思っているようですが、当社は先に述べた目標を達成し業界の最前線に立つでしょう」。

 ニコルズ氏は、「英国、豪州などにも当初はベッティング・エクスチェンジに厳しい目を向ける人々がいました。これは米国でも同様です。しかし、ベットフェア社は公正確保のためにハイレベル技術の導入などの対策を講じてきました」と述べた。

 同氏は、「多くの反対論者がいました。しかし今では、彼らも当社が提供する賭事商品を試し、さらには彼らが懸念している出来事(不正事件)を探知する当 社の能力にも目を向けています。当社に対する最も執拗な敵対者だった人たちの中から、最も熱心な擁護者が現われました」と語った。

 ベットフェア社は、2000年の創立以来ずっと安定した収入をあげている。ニコルズ氏は2008年4月期決算では年間最終利益が2億4000万ポンド (約408億円)であったと述べた。また、ORCの2月の会合において、ベットフェア社は年間損失を出したことは一度もなく、2009年4月期決算では最 終利益が3億ポンド(約510億円)となるだろうと述べた。

 ニコルズ氏は次のように付言した。「これだけは言えます。当社は9年前にはヨーロッパ規模の企業でした。しかし、現在では30億ユーロ(約3900億円)の価値を有する世界的企業と言えるでしょう。私たちの事業は不誠実と偽りで砂の城を築くようなものではありません」。

 民間企業であるベットフェア社は英国、豪州、オーストリア、ドイツ、イタリアおよびマルタ島が発行した賭事事業免許を有しており、そのウェッブサイトに よれば5つの国際センターを運営している。ニコルズ氏は、ベットフェア社はベッティング・エクスチェンジをパリミューチュエル賭事の一種であると考えてい ると述べた。

(関連記事)競馬ニュース2009 No.6「ベットフェア社、米国に進出か」「ベットフェア社、TVGを買収」

By Ryan Conley
(1ポンド=約170円、1ユーロ=約130円)

[The Blood-Horse 2009年5月9日「Betfair Wants U.S. Betting Exchange, But Will Focus on TVG」]


上に戻る