ドバイの経済危機は 競馬産業に影響を与えるか?(ドバイ)[その他]
モハメド殿下(Sheikh Mohammed bin Rashid al Maktoum)の競走馬生産事業の顧問であるジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏は11月27日、ドバイ首長の競馬と生産に対する支出は、ドバイが直面している財政危機によって影響をうけることはないだろうと語っ た。
ドバイ政府が所有する複合企業ドバイワールド(Dubai World)が11月25日、360億ポンド(約6兆1200億円)の負債に6ヵ月の支払猶予を要求したため、世界中の株式市場の下落を招き、二番底 (double-dip recession 初めの下落からプラスに回復した後あまり期間を経ずに再び下落すること)に陥るとの懸念が強まっている。
しかし、ファーガソン氏は11月27日、ニューマーケットで開催中のタタソールズ社(Tattersalls)の12月当歳馬セールにおいて話した際に、ドバイワールドの財政とモハメド殿下の競馬資産は“あらゆる面で別物である”と強調した。
前日3.2%下落していたFTSE100種総合株価指数(ロンドン証券取引所における株価指数 欧州を代表する株価指数)が部分的に反転し、取引が1% 上昇して終了したにも関わらず、世界中の市場はドバイワールドが金利返済を行うことができないという知らせを聞いて衝撃を受けた。
ドバイワールドは都市国家の成長の重要な原動力とされており、世界中の港湾や不動産などに利害関係を有している。ドバイ最高財政委員会の議長であるアハ メド殿下(Sheikh Ahmed bin Saeed al Maktoum)は、ドバイ政府が“市場と債権者の懸念”を理解するとの声明を発表した。
アハメド殿下は、「しかし、私たちはドバイワールドの債務負担に対処するために断固たる行動をとる必要から、介入しました」と付言した。
モハメド殿下のマクツーム一族は、いくつかの競走馬の主要セールにおいて総収益の3分の1を占める投資を行い、2歳馬調教セールと1歳馬セールを根底から支えているので、この一族が投資を大幅に削減すれば、サラブレッド生産事業に甚大な影響を与えるだろう。
さらに、モハメド殿下はゴドルフィン社(Godolphin)の競馬事業を運営すると同時に、世界最大の種付および生産事業を行っている。また同殿下は、ドバイを拠点とする企業を多くの一流競走のスポンサーとすることで世界中の競馬の振興に貢献している。
同殿下はドバイにおいて、2010年3月にドバイワールドカップを開催することを目指し、メイダンに建設費15億ポンド(約2550億円)の新競馬場を開場することを主導している。
By Edward Prosser
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2009年11月27日「Ferguson: Dubai crisis will not hit racing spend」]