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海外競馬ニュース
2010年05月13日  - No.19 - 1

タペタでのドバイワールドカップ、多くのことを証明(ドバイ)[その他]


 タペタ馬場(Tapeta)の生みの親であるマイケル・ディキンソン(Michael Dickinson)氏は、タペタ馬場で行われたドバイワールドカップ(UAE-1)の終了後に、自分の子供がハーバード大学を優秀な成績で卒業したかのように誇らしげにメイダン競馬場を歩いていた。

 そしてドバイワールドカップを制したグロリアデカンペオン(Gloria de Campeao)を管理するパスカル・バリー(Pascal Bary)調教師を見かけたとき、ディキンソン氏は同調教師に駆け寄り、次のように述べた。「パスカル、よくやったね。君は早目にグロリアデカンペオンをここに連れてきて馬場に慣れさせていたね。遅れてここにやって来た調教師は皆、うまく馬を仕上げることができなかったのに、君は出来た。君は優勝するのにふさわしかったよ」。

 ディキンソン氏は開催の間じゅう、タペタ馬場を賞賛する新しい理由を次々に見つけた。ゴールデンシャヒーン(UAE-1 1,200 m)の優勝馬キンセールキング(Kinsale King)の調教は、2010年初めにゴールデンゲートフィールズ競馬場のタペタ馬場で行われていた。アルシェマーリ(Al Shemali)は、ドバイデューティーフリー(UAE-1 芝)での思いがけない勝利の前に、タペタ馬場でのレースに2回出走していた。UAEダービー(UAE-2)の1〜3着馬は皆、2010年にメイダン競馬場のタペタ馬場で2回以上出走しており、もちろんドバイワールドカップの1〜3着馬は1年中タペタ馬場で出走してきた。

 以上はタペタ馬場への明らかな支持であるが、一方で、タペタ馬場はレースを公平なものにしているか、また、賞金は高額であるけれども、タペタ馬場に慣れているという大きな強みを持つ馬と競走させるために馬主がわざわざ所有馬をドバイに遠征させる気になるか、という問題がある。

 遅くドバイ入りした調教師は適切に馬を仕上げられなかったと言うディキンソン氏は正しいのかもしれないが、米国の調教師と馬主にとって、遠くから早目にドバイに馬を送り込み、何日もかけて調整をし続けるのは、はたして適切なのだろうか?

 カーリン(Curlin)を例にとれば、このことは実際に適切だろう。2007年の年度代表馬であるカーリンは、早目にドバイ入りし、現地のステップレースに出走した初めての馬となった(この頃ドバイワールドカップを開催していたナドアルシバ競馬場はダート馬場を使用していた)。同馬はジャガートロフィーを優勝し、その後ドバイワールドカップを楽勝した。

 2010年の結果がはっきりしたことをうけて、米国の調教師と馬主は、ドバイが提供するおなじみの多大な報酬を手に入れたいと思うなら管理馬を早く現地に送ることを真剣に検討しなければならないだろう。ただ、キンセールキングは早目にドバイ入りしてはおらず、同馬のゴールデンゲートフィールズ競馬場での2走がドバイでの勝利にどの程度寄与したのかはわからない。

 その2走が、同馬を故障させることなく人工馬場での経験を与えたということだけは言えるだろう。賞金200万ドル(約2億円)をかっさらうキンセールキングを見て、トップ短距離馬を管理するどれだけ多くの調教師がドバイ遠征をさせることに思いをめぐらせただろうか?

 競走の激しさに関しては、ドバイワールドカップの上位10頭はゴール地点において3馬身しか離れていなかった。そして最後にほとんど同着であったグロリアデカンペオンとリザーズデザイア(Lizard’s Desire)は、レースの途中では先頭と12番手をそれぞれ走っていた。

By Steve Haskin
(1ドル=約100円)

[The Blood-Horse 2010年4月3日「Tapeta Experience Proves Big Plus」]


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