英国の騎手、ロマネ氏の世界的な 鞭使用禁止の予測に強く反論(イギリス)[開催・運営]
ジミー・フォーチュン(Jimmy Fortune)騎手は、フランスギャロ(France Galop)の元事務総長であるルイ・ロマネ(Louis Romanet)氏が述べた方向修正目的以外での鞭使用の世界的禁止が5年以内に採用されるという予測が正しいとされれば、英国競馬のレベルは低下するだろうと予測している。
アジア競馬会議(Asian Racing Conference)において、鞭使用に関する大衆の感じ方に対してロマネ氏が馬の福祉問題の観点から行ったコメントは、競馬関係者のあいだで議論を巻き起こしたが、英国の騎手たちは、いかなる鞭使用ルールの厳格化に対しても頑なに反対している。
フォーチュン騎手は、「鞭は私たちの職業にとって重要な道具です。正直言って、近頃話し合われている鞭使用の問題は些細なことだと思います。鞭でハエを傷付けることはありませんし、まして馬を傷付けることはありえません」と語った。
同騎手は次のように続けた。「鞭使用はただ馬の前進を励ますために行われており、馬を傷付けようがありません」。
「鞭使用が禁止になることになれば、英国競馬のレベルは明らかに低下するでしょう。そして私はアメリカやアイルランドで鞭使用が禁止になるとは思いません」。
リチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手もまた、鞭使用を違法とするいかなる取り組みに対しても反対しており、次のように述べた。「どうして彼らが干渉しなければならないのか分かりません。私たちが使用している鞭は馬を傷つけず、音が鳴るだけです。従って馬の福祉の点で問題は生じないと考えています」。
英国で唯一騎手の常勤コーチを務めるリチャード・パーハム(Richard Perham)氏は鞭使用が議論を引き起こす課題であることを認識する一方で、ロマネ氏の考える方向に話を持っていくよりも、将来騎手になる若者たちを教育する方が懸念を軽減する上での最善策であると確信している。
英国は、見習い騎手に鞭使用規制を課している競走を年間72レース施行している。鞭なし競走シリーズ(Hands and Heels series)の成功は、パーハム氏と騎手協会(Professional Jockeys’ Association)のケヴィン・ダーレー(Kevin Darley)会長に、トレーニングレースシリーズ(Training Race Series)の立上げを促した。このシリーズでは、鞭を使用することはできるが、逆鞭は認められない。
パーハム氏は、「鞭使用禁止は考えられません。これまで非常に長い間鞭を使用してきて、騎手は適切な方法での鞭の使い方を熟知しています」と述べた。
同氏は次のように付言した。「私は大衆の感じ方は重要だと思いますが、指導プロセスと若い騎手への教育を通して、5年後にはまったく違うタイプの騎手が見られるだろうと思います。なぜならば現在学びつつある騎手たちは、鞭の使用理由について現役の騎手よりもずっと意識が高いからです」。
障害騎手のジェイソン・マグワイア(Jason Maguire)氏は次のように述べた。「私には鞭使用禁止は考えられません。ここ2、3年で鞭に修正が加えられていますが、私はこの方向が今後続けられていくだろうと考えます。騎乗し始めると騎手たちは悪いクセが付くこともありますので、若い騎手を教育することは良い考えであると思います」。
By Graham Green
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(関連記事)海外競馬ニュース2010年No.19「ロマネ氏、鞭使用が安全理由に制限されると予測(国際)」
[Racing Post 2010年4月27日「Riders hit out Romanet forecast of global whip ban」]