レース用ラクダのクローン化の飛躍的進歩(ドバイ)[その他]
アラブ首長国連邦(UAE)の科学者たちは、モハメド殿下(Sheikh Mohammed)所有のえり抜きのレース用ラクダをクローン化することに成功した。この飛躍的進歩は、アラビア半島最古のスポーツの1つであるラクダレースの様相を一変させるだろう。
衛星放送アルジャジーラ(Al Jazeera)の報告によれば、クローンのラクダはドバイのラクダ生産センター(Camel Reproduction Centre: CRC)で誕生した。CRCでは、モハメド殿下所有の数頭の雌ラクダがさらに多くのクローンを2011年初めに出産する予定である。
CRCはモハメド殿下により資金提供されており、と畜場に送られるラクダから採取された細胞からクローンのラクダが今から15ヵ月前に初めて生まれたことにより、新たな歴史をつくった。しかし今回の2頭目となるクローンラクダは、数十万ポンドの値段のつくレース用ラクダの完全な遺伝子複製であることから、一層の興奮をもたらしている。
CRCの局長であるニサール・ワニ(Nisar Wani)博士は、カリージタイムス紙(Khaleej Times)に、「2頭目のクローンは雄で、少しばかりかんしゃく持ちです。それ以外ではまったく健康体です」と語った。
この開発は、ラクダレースにおいてモハメド殿下を支配的な存在にする潜在性を持っている。UAEだけで1万4,000頭のレース用ラクダがおり、ラクダレースで子供の騎手が禁止されたことをうけてロボットが騎乗し、4 kmから10 kmの距離で競われる。
人工授精で生まれた馬はスタッドブックに登録されないので、この方面の科学の進歩は競馬産業に関する限り無関係である。
サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders’ Association)の前会長であるフィリップ・フリードマン(Philip Freedman)氏は、「自然な交配や牝馬が受胎から仔馬誕生まで身ごもる形でないものはすべて、スタッドブックのルールの下では許されません」と語った。
ワニ博士は、一流のレース用ラクダのクローン化を続けることおよびCRCで開発される専門知識が、アラビアンオリックスや在来のヒョウを含むUAEの絶滅危惧種の生存の確保に役立てられることを望んでいる。
By Graham Green
[Racing Post 2010年7月6日「Breakthrough in Dubai as racing camel is cloned」]