ドバイワールドカップ優勝馬グロリアデカンペオン、故障で引退(国際)[その他]
2010年3月にメイダン競馬場で初めて施行された世界最高額の賞金1,000万ドル(約10億円)のドバイワールドカップに優勝したグロリアデカンペオン(Gloria de Campeao)は、腱を傷めたことで引退することになった。
ブラジル産の7歳馬であるグロリアデカンペオンは、メルボルンのムーニーヴァレー競馬場で施行されるコックスプレート(G1)に向けて調教されていたが、通常の調教の後に前肢の腱が損傷していることが判明した。
パスカル・バリー(Pascal Bary)調教師は、「この故障は7月27日に発症しました。特に変わった調教をしていたわけではありませんので、おそらく度重なる遠征のために積み重なった過労が原因でしょう」と説明した。
同調教師は次のように付け足した。「彼は私にとって少しばかり例外的な馬でした。私は通常1歳馬を預かるのですが、彼は4歳になってから私のところに入厩しましたので、新しい経験の連続でした」。
「私たちは彼を何度も遠征させましたが、いつもきちんと応えてくれました。素晴らしい馬です」。
国際競走の看板馬であるグロリアデカンペオンは、3年連続でドバイワールドカップに出走し、2009年には高額賞金のシンガポール航空インターナショナルカップ(G1)で優勝した。 同馬の最後の出走となったのは2010年シンガポール航空インターナショナルカップであり、ドバイワールドカップでは鼻差で制した相手でマイク・ド・コック(Mike de Kock)調教師が管理する5歳馬リザーズディザイア(Lizard’s Desire)に半馬身をつけられて破れた。そのリザーズディザイアが致命的な蹄病である蹄葉炎を患っていることが明らかになって間もなく、今回のニュースが発表された。
G1競走を2回制し合計600万ポンド(約8億4,000万円)近い賞金を獲得したグロリアデカンペオンは、アルゼンチンを拠点とする種牡馬インプレシオン(Impression)の産駒である。
同馬はリオデジャネイロとサンパウロで重賞競走を制したあと、2007年にヨーロッパへ移ってシャンティイのバリー厩舎に入厩した。これはスウェーデン人馬主のステファン・フリボーグ(Stefan Friborg)氏の南米優良馬がしばしば辿るコースである。
グロリアデカンペオンは、2007年10月の凱旋門賞ウィークエンドでダニエルヴィルデンシュタイン賞(G2)に出走した後、ドバイへ1回目の遠征を行った。そこで同馬は3つのレースにおいて2着となったが、本番のドバイワールドカップにおいてはカーリン(Curlin)の8着という結果に終わった。
2009年ドバイワールドカップでは前年より健闘し、ナドアルシバ競馬場において逃げ馬ウェルアームド(Well Armed)の2着に入線した。
2010年において、グロリアデカンペオンは栄光のときを過ごした。ドバイカーニバルがメイダン競馬場の全天候型馬場に移り、賞金が1,000万ドル(約10億円)に引き上げられた中で、同馬は、鞍上にブラジル人のT・J・ペレイラ(TJ Pereira)騎手を迎え、地球上で最も賞金の高いレースを制した。
By Nicholas Godfrey
(1ポンド=約140円、1ドル=約100円)
[Racing Post 2010年8月2日「Injury ends World Cup hero Gloria’s career」]