凱旋門賞を制したスタウト調教師、新たな目標に狙いを定める(イギリス)[その他]
マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師の親しい友人であるジュリアン・ウィルソン(Julian Wilson)氏が10月4日に述べたところによれば、同調教師には、11回目の最優秀調教師のタイトルを獲得してアレック・テイラー(Alec Taylor Jnr)調教師に次いで英国で最も成功した調教師になるという望みがある。
スタウト調教師は、ワークフォース(Work Force)で初めて凱旋門賞を制したことで、自己最高の偉業の1つを成し遂げた。
元BBC競馬解説者であるウィルソン氏によれば、たとえ今シーズンにおいて獲得賞金額争いでリチャード・ハノン(Richard Hannon)調教師に追いつき損ねたとしても、スタウト調教師にとっては、競馬におけるすべてのチャレンジを成し遂げたことで引退するなどということより、ヘンリー・セシル(Henry Cecil)調教師との最優秀調教師のタイトル獲得数争いで一歩先んじることの方が重要な目標であるようだ。
スタウト調教師は、英国のすべてのクラシック競走、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、ブリーダーズカップ、ジャパンカップおよびドバイワールドカップを制したが、ワークフォースが10月3日にナカヤマフェスタ(Nakayama Festa)を頭差で制するまで凱旋門賞を優勝したことがなかった。
ウィルソン氏は、「スタウト調教師は自身のキャリアにおいて、今や基本的にすべてのことを成し遂げました」と語った。
「スタウト調教師は認めようとはしませんが、もう1つの成し遂げたい望みを持っており、それは11回目の最優秀調教師のタイトル獲得です。そうなればスタウト調教師は、マントン牧場(Manton Stud)の魔術師と言われたアレック・テイラー調教師以来最も成功した調教師になります。テイラー調教師が12回最優秀調教師となって以来10回以上タイトルを手にした調教師は誰もいませんでしたが、セシル調教師が10回これを獲得し、スタウト調教師も10回獲得しました。スタウト調教師はどうしても11回目の獲得をしたいのだと思います」。
「スタウト調教師は60代ですが、最も注目すべきことはそのキャリアにおいて大きな挫折を味わったことがないということです。彼は少頭数を所有する馬主から始め、前進し、上昇し続けました。彼は現在、非常によく組織された調教事業を営んでおり、世界中の優良馬主のために限定された数の馬を管理している状況にあります。彼はいつでも人に任せきりにはしませんが、各部署に信頼できる人材を配しています」。
スタウト調教師はあと2週間ちょっとで65歳を迎えるが、同調教師に調教事業を段々と縮小させる意思はないようであるとウィルソン氏は述べ、「私は彼があと4〜5年は続けると思います」と付け足した。
ダービー勝馬ワークフォースがキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでがっかりするような走りを見せた10週間後、凱旋門賞での素晴らしい成功の余韻が残る中で、スタウト調教師は10月4日、タタソールズ社(Tattersalls)のセールで将来の有望馬を綿密に調査した。
ウィルソン氏は次のように続けた。「10月3日から逆算して調教をやり直して、スタウト調教師はまさに納得したのです。そしてワークフォースの状態も10月3日には再びピークを迎えていました。偉大な人物でないと、両手を上げて“私はキングジョージで間違っていた”とはなかなか言えないものです」。
「キングジョージの後でスタウト調教師は困惑して頭をかいていましたが、基本的にワークフォースはレースの初めからスピードを出しすぎており、スタウト調教師がおそらく少しばかり時計を早く巻き上げすぎていたのでしょう」。
「スタウト調教師は、英国ダービーの日と凱旋門賞の日にワークフォースをぴったりと頂点に持って行きました。多くの傑出した偉業の中で、私はそれが最高のことの1つであると思います。彼を見るのはいつも楽しく、彼の友人であることを非常に光栄だと思います」。
By Jon Lees
[Racing Post 2010年10月5日「Stoute’s new aim−to win more titles than Cecil」]