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海外競馬ニュース
2010年12月16日  - No.50 - 1

競馬開催日数削減策は功を奏するか?(アメリカ)[開催・運営]


 減少する競走馬の頭数、賞金額と出走頭数を増加させるための努力および競馬場の財政問題のすべてが背景となって、“少ない開催日数がより大きな利益を生む”戦略の提唱につながり、この戦略は2010年夏のモンマスパーク競馬場で素晴らしい形で支持された。

 このニュージャージー州の努力は、目に見える結果をもたらした成功として賞賛された。しかしこのような戦略は、パリミューチュエル産業のすべての関係者にとって機能するのであろうか?

 “少ない開催日数で大きな利益を生む”というテーマは、最近の国際サイマルキャスト賭事会議(International Simulcast Conference)で取り上げられた。すべての関係者が競馬開催日の削減を望んでいるわけではないこともあり、いくつかの競馬場で功を奏したものが他の競馬場でもあてはまるとは限らないという結論に至ったようである。

 サラブレッド競馬場協会(Thoroughbred Racing Associations: TRA)の上席副理事長であるクリス・シャーフ(Chris Sherf)氏は、2008年において、TRAメンバーである39競馬場のうち14場が場内馬券売上げから収入の50%を創出しており、25場が50%より少ない収入を創出していると述べた。同氏はまた、11場において競馬映像の配信はサイマルキャスト賭事収入の40%以上を占めたと述べた。

 シャーフ氏の発言のポイントは、多くの配信競馬場と多くの受信競馬場があるということである。そして後者は、競馬開催日程が収縮して、商品が消えているので苦戦する可能性がある。

 同氏は、「競馬開催日程を削減することは簡単であると言われるかもしれませんが、それには大きな反響があるのです」と語った。

 デラウェア州南部のハリントン競馬場(Harrington Raceway & Casino)で繋駕競走を運営しているジム・ベース(Jim Boese)氏は、同競馬場がサイマル賭事市場において夕方近くに“ブリッジ”商品(訳注:他の競馬場が提供する日中の競馬と夜間競馬との間の空白の時間帯をねらって、17時30分から施行する競馬開催)の提供を最初に始めた競馬場の1つであると述べた。パリミューチュエル賭事の売上げは初めは急騰したが、その後市場に多くの業者も参入したために横ばいとなった。

 ベース氏は、賞金や売上げの増加のために開催日数を削減することはおそらく実現されないだろうと述べた。

 ベース氏は、「デラウェア州に多くの馬がおり、年間109日間の競馬開催をホースマンと契約しているので、その実現は非常に難しいでしょう。開催日数が少ないことは私たちにとってはより良いことですが、ホースマンにとっては受け入れるのが困難な提案でしょう」と語った。

 このようなシナリオは、競馬以外の賭事から収入を得ている多くの競馬場の特色をよく示している。年間数千万ドルの賞金収入があるために、ホースマンは開催日程を維持し多くのレースを提供しようとする。

 ケンタッキー州のキーンランド競馬場は、モンマスパーク競馬場における開催日数削減の試行がサイマルキャスト映像を受信する競馬場にとってどのように機能するかの一例を見せました。キーンランド競馬場でサイマルキャスト賭事を監督するジム・グッドマン(Jim Goodman)氏は、モンマスパーク競馬場で開催された競走への賭事売上げは今年、前年の4倍で1日4万ドル(約400万円)となったと語った。モンマスパーク競馬場は、従来週5日開催していた競馬を週4日に減らした。

 裏の側面もある。グッドマン氏は、いくつかの競馬場での開催日数削減はサイマルキャスト賭事の運営と売上げに影響を与えていると述べた。

 同氏は次のように付言した。「たとえば、チャーチルダウンズ競馬場やエリスパーク競馬場が競走を施行しない日にサイマルキャスト賭事施設を閉めたら、顧客を裏切ることになります。それを気に留めなくなったら、私たちは最終的に週3日の事業をすることになるでしょう」。

By Tom LaMarra
(1ドル=約100円)

[The Blood-Horse 2010年10月23日「Times When Less Isn’t Necessarily More」]


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