ムーア騎手が寄稿したベットフェア社のコラム、発表見合わせ(イギリス)[その他]
ライアン・ムーア(Ryan Moore)騎手がベットフェア社に初めて寄稿したコラムは、BHA(英国競馬統轄機構)が最優秀ジョッキーに輝いたことのある同騎手のベッティング・エクスチェンジとの商業的繋がりについて懸念を表明したことによって、お蔵入りとなった。.
普段控えめにしか活字メディアに話さないムーア騎手の署名入り記事は、障害競走シーズンの毎週土曜日にウェブサイトで最優秀調教師のポール・ニコラス(Paul Nicholls)氏の意見を載せてきたベットフェア社にとって、見事な戦略と見られていた。
騎手協会(Professional Jockey’s Association: PJA)は、騎手とブックメーカーとのビジネス関係が存在すると認識しており、今回の一件がより広範囲な関わりを持つことになるのかをBHAに4月中に確認する予定である。
ベットフェア社のスポークスマンであるトニー・カルヴィン(Tony Calvin)氏は、ムーア騎手にどれだけの報酬が支払われたかに言及することを避け、「BHAが昨日午後にコラムを差し止めたことには非常にがっかりさせられました」と述べた。
「BHAがすでに認識していた寄稿コラムに関して一体何を問題としているのかについて、今後間違いなく私たちに伝えてくるでしょう。関係団体とそれらを話し合うまで、私たちはこの記事の発表を延期することが適切であると考えました」。
「私たちはBHAといつも一緒に取り組んでいますので、このことについて仲たがいすることはありませんが、このことは多くの疑問を浮き彫りにしました。特にベットフェア社のコラムを通じて人気騎手の立場で大衆に意見を伝えることに何の不都合があるのでしょうか」。
「ムーア騎手のコラムは、重賞のある開催における週末の騎乗について、正直で率直な見解と、競馬産業の時事的な問題など自身の意見を語っただけであり、決して単なる予想記事ではなかったでしょう」。
カルヴィン氏は次のように付言した。「私は、すべてのブックメーカーそして活字メディアやテレビメディアがこの分野での騎手の起用について明確にすることを歓迎します」。
BHAが異議を唱えているのは、「騎手は、BHAにより承認され登録されているスポンサー契約に基づく以外は、報酬、贈り物、心づけなどの恩恵のあるなしに拘らず、賭事組織や賭事サービスの宣伝や販売促進を行う目的でいかなる活動に関与することも避けなければならない」と規定されている騎手の公正行動規範が関わっているためと理解される。
PJAのCEOであるケヴィン・ダーレー(Kevin Darley)氏は、「私はムーア騎手とベットフェア社の事情は認識しており、BHAとの間でこの件を解決するよう努めます」と述べた。
BHAの公正・免許担当理事であるポール・スコットニー(Paul Scotney)氏は次のように語った。「騎手たちは賭事業者から資金援助を受けており、行動規範を巡る問題が存在しています。私たちは今週中にPJAと協議し、このことについて検討することにしています」。
By Graham Green
[Racing Post 2011年4月24日「Moore’s first Betfair column pulled after BHA concerns」]