パリミューチュエル賭事、州の収入への貢献度が低下(アメリカ)[開催・運営]
合法賭事から州と地方自治体にどのくらいの資金が拠出されているかに関しては、ある報告書によると、2010年にはパリミューチュエル賭事は引き続き下落しているものの、新しい州にまで賭事が拡大されたため、合法賭事が州と地方自治体の財政を回復させている。
アルバニーにあるネルソン・A・ロックフェラー行政府研究所によれば、州と地方自治体は2010年、宝くじ、カジノ、レーシノ(競馬+カジノ)、そしてパリミューチュエル賭事から前年比2%増の239億5,000万ドル(約2兆1,555億円)を売上げた。その額は2008年の240億6,000ドル(約2兆1,654億円)には0.5%及ばないが、複数年にわたる下降傾向を終わらせた。
レーシノ、宝くじおよびカジノはすべて収入を増やした一方で、パリミューチュエル賭事は報告書の中で州と地方自治体への収入創出に下落が見られた賭事の1つであった。2010年に12州は、レーシノから前年比2.7%増の29億ドル(約2,610億円)を売上げ、また、宝くじの売上げは前年比2.6%増、カジノの売上げは前年比0.4%増であった。競馬場のスロットマシンの売上げは宝くじのカテゴリーに含まれている。
これに対して、すべての種類の競馬、グレイハウンドレースおよびハイアライを含むパリミューチュエル賭事からの2010年の収入は、前年比17.4%減の1億4,960万ドル(約134億6,400万円)であった。報告書によれば、インフレが要因となった1993年以来パリミューチュエル賭事による収入は80%以上減少している。
報告書の著者であるルーシー・ダダヤン(Lucy Dadayan)氏とロバート・B・ウォード(Robert B. Ward)氏は、パリミューチュエル賭事を提供する37州のうち30州が2010年にパリミューチュエル賭事の収入が減少し、そのうち23州が二桁減少したと報告した。パリミューチュエル賭事からの収入の増加がみられた数少ない州は、オレゴン州(+40.3%)、サウスダコタ州(+36.6%)、ウエストヴァージニア州(+36.2%)、ペンシルヴァニア州(+25.2%)、インディアナ州(+14.4%)、アイオワ州(+3.6%)およびイリノイ州(+2.3%)である。
賭事収入は一般的に州の総収入の中の2.1〜2.5%であり、比較的少ない割合しか占めていない。しかし報告書の著者は、各州が1ドルでも総収入を増やしたい現状において、この収入源は依然として重要であると述べている。
報告書の著者は、「この収入額は一見重要でないと思われるかもしれませんが、州知事や州議会議員は、その額よりはるかに少ない予算の額を減らすという政策的に難しい選択に直面しています。州の収入を増加させるための選択として州民に不人気な増税やサービス費削減しかない場合は、比較的少ない収入しか見込めないカテゴリーからの収入を増加させることは政治的に魅力のあるものになり得ます」と記している。
パリミューチュエル賭事から州への収入 | ||
2008年 | $218,600,000 | (約196億7,400万円) |
2009年 | $181,200,000 | (約163億 800万円) |
2010年 | $149,600,000 | (約134億6,400万円) |
By Frank Angst
(1ドル=約90円)
[Thoroughbred Times 2011年7月16日「Pari-mutuel wagering contributes less to government」]