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海外競馬ニュース
2011年11月02日  - No.44 - 2

動物愛護団体は新しい鞭使用ルールを競馬のためになると評価(イギリス)[開催・運営]


 世界馬福祉協会(World Horse Welfare: WHW)のCEOローリー・オワーズ(Roly Owers)氏は、BHA(英国競馬統轄機構)と騎手が新しい鞭使用ルールを“競馬の発展”のためのチャンスとするよう呼びかけた。

 新しい鞭使用ルールが10月10日に導入されて以来、騎手たちの間でストライキ要求を含む多くの論争が巻き起こり、リチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手が一時的に騎乗を拒否し、最終的にBHAは10月21日にルールを修正した。

 定められた鞭の使用回数(平地競走:7回、障害競走:8回)の超過により科される罰則が厳格すぎると感じている多くの騎手の間で不満は残っているが、騎手の行動に変化をもたらすためには罰則は厳しくなくてはならないとオワーズ氏は考えている。

 オワーズ氏は、「大多数の騎手が非常に真剣に馬の福祉について考えていることは理解していますし、鞭はかなり重要な役割を持つことも分かっています。しかしそれでも、以前の状況を受け入れることはどうしてもできません」と語った。

 そして次のように続けた。「新ルール導入前の罰則制度は機能していませんでした。騎手の行動だけではく、調教師や競馬関係者全員の行動が変わることが必要です。私たちが要求しているのは、行動の変化をもたらす罰則制度です。それはまさしく変革であり、簡単に実現はしませんが競馬のためになることです」。

 オワーズ氏はチャンネル4の朝の番組において、鞭に関する騒動は競馬の評判を傷つけてきたと付言した。

 同氏は、「大衆は鞭使用について非常に大きな誤解をしており、ここ2週間において鞭問題が多くの新聞の見出しを飾ったことは競馬界にとって非常にダメージを与えています」と述べた。

 そして、「きちんと機能するルールを持ちましょう。私たちはこの新しいルールが機能すると確信していますが、まだ10日しか経っていません。これが機能するチャンスを与えましょう」と付け足した。

 一方BHAの競馬開催運営・規制担当理事ジェイミー・スティア(Jamie Stier)氏も、罰則は強化され、しかもそれらが騎手を罰するよりも奨励するものである必要があると述べた。

 スティア氏は、「これらのルールを遵守しようとする行動変化が騎手のあいだに生まれる必要があります。人々はしばしば罰則制度の前提を誤解しています。罰則制度は騎手を罰するためにあるのではなく、ルールの範囲内で騎乗することを奨励するために存在するのです」と語った。

 同氏はまた、BHAの鞭使用ルールの見直しのやり方および新しいルールの導入後2週間足らずで実行されたルール修正を弁護し、次のように語った。

「私たちは今回迅速かつ断固として行動しましたが、これまでいつも慎重に行動してきています。BHAはもっともな懸念が提起された場合には、それにきちんと対応します。私たちは検討プロセスのどの段階においても責任を持って行動をしてきました」。

「ルールが修正されてもその基本にある考え方は変わりません。騎手には行動の変化が必要とされているということです」。

 また騎手協会(Professional Jockey’s Association: PJA)のCEOケヴィン・ダーレー(Kevin Darley)氏は、今回のルールによる罰則は犯した罪に見合わないと懸念を表明する一方、今後数日のうちにストライキが断行されることはないだろうと改めて確信している。

 そしてダーレー氏は次のように語った。「今週ストライキは行われないでしょう。それは非生産的です。私たちはグループとして団結しなければなりません。マッコイ(McCoy)騎手、デットーリ(Dettori)騎手およびムーア(Moore)騎手などの多くのベテランジョッキーと一丸となっており、大人のやり方で議論し話し合っています。そして、ストライキをすることで何を成し遂げられるのだろうかと語り合いました」。

「10月17日に私がBHAに連れて行った騎手は一流というだけではなく、世界のトップレベルの騎手です。そして私たちがこの状況を切り抜けるためには、鞭に関する何らかの思慮深さが必要です。彼らは新しいルールの罰則について憤慨しています。それらの罰則の中には犯した罪に見合わないものもあります」。

By Peter Scargill

[Racing Post 2011年10月22日「New whip rules good for racing says welfare group」]


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