フランスのPMU、トート社買収への参加を断念(イギリス)[開催・運営]
世界で最も強力な賭事業者の1つであるフランス国有の賭事業者PMU(フランス場外馬券発売公社)は、トート社(Tote)買収の競争から抜けることになった。
国内および海外での賭事プール運営の専門知識があり、アイルランドの一流ブックメーカーのパディーパワーズ社(Paddy Powers)とインターネット賭事で提携していることから、PMUは筆頭候補とされていたが、英国政府により行われているトート社の経営権移譲の最終段階には進まなかった。
入札希望者リストにPMUが入っていないことは、1月6日にPMUの企業広報部のブノワ・コルニュ(Benoit Cornu)部長が「私たちは入札をめぐる競争に参加しません」と明らかにしたことから確認された。同部長は、以前は魅力的であると見なしていたトート社買収を進めなかった理由については聞かれても説明しなかった。
トート社の経営権移譲にPMUが加わる可能性は、PMUのCEOフィリップ・ジェルモン(Philippe Germond)氏がレーシングポスト紙に、「私たちは英国政府の発表を認識しており、その入札に関する文書を検討するでしょう」と語った2010年10月に顕在化した。
PMUの役員たちは入札のチャンスをさらに検討したが、彼らのトート社入札への情熱は、英国競馬のさまざまな利害関係に対処しなければならないという見通しのために冷めてしまったと考えられている。
2010年6月に始まったフランスのインターネット賭事市場開放への取組みに集中する必要性も、もう1つの要因であると理解されている。フランスではパリミューチュエル方式だけが競馬賭事で許可されている賭事形式であるが、PMUの市場独占はなくなっている一方、PMUはスポーツ賭事やポーカーの分野に進出している。
PMUが撤退し、豪州のタブコープ社(Tabcorp)も参加しなくなったことから、トート社の全部あるいは一部の買収に参加すると考えられる海外賭事業者は、南アフリカで競馬場、賭事および競馬放映を運営するフメレラ社(Phumelela)だけとなった。
By Howard Wright
[Racing Post 2011年1月7日「French PMU out of the race to take over Tote」]