ベットフェア社のCEO、賭事受付のミスを謝罪(イギリス)[開催・運営]
先日の2,300万ポンド(約29億9,000万円)に上るヴォレーラヴデット(Voler La Vedette)への賭事受付ミスに関してレース中賭事をすべて無効にしたベットフェア社(Betfair)の決定を巡って論議が続いており、同社の暫定CEOであるスティーヴン・モラナ(Stephen Morana)氏は12月30日、個人的に非常に落ち込んでいる告白した。
モラナ氏が出した声明では、コンピュータプログラムの勝手な動きあるいは賭事システムの自動的な操作によって、結果的に顧客1人に対して6億ポンド(約780億円)の借金を負わせ得る巨額の賭事が受け付けられたことになったと初めて公式に認めた。しかしベットフェア社は、口座の残高限度をはるかに超えた巨額の賭事がどのようにして行われてしまったかについては明確にしなかった。
同氏は、「顧客が利用したコンピュータプログラムが誤りを冒し、ベッティング・エクスチェンジに巨額の賭事の受付けを実行させる結果となってしまいました」と語った。
そして次のように続けた。「問題の賭事は、量が巨大でかつ価格が間違っていました。ご存じのとおりベットフェア社のシステムは、顧客が債務支払に必要となる十分な財源がない限り、その賭事は受け付け出来ないようになっています。このケースにおいては、顧客の口座残高は1,000ポンド(約13万円)に満たなかったので、その賭事は受け付けられるはずではありませんでした」。
「しかし、ベッティング・エクスチェンジのデータベースの中核に生じた技術的な誤作動のために、1件の賭事が防止システムをすり抜け、受け付けられてしまいました」。
スポークスマンのトニー・カルヴィン(Tony Calvin)氏が、何が起きたかについて高度な技術的説明を行うことを約束したにも拘らず、問題のレースが行われた約50時間後に発表されたモラナ氏の声明は、どのようにしてシステムが誤作動を起こしたかについての詳細を含まずに、「これまでに1回も起きたことのない事象が重なったことで引き起こされた問題でした」とだけ述べていた。
インターネットの掲示板の12月30日の書込みによれば、賭事の大きさと2進法による32文字の数列が意味する最大値との間には密接な類似性があると指摘されており、このことは、巨額の購入額を受け付けたこと自体がベットフェア社のシステムエラーの原因であったとの憶測を呼んだ。
それにも拘らずモラナ氏は、対応措置は施され、再発を防ぐための手段も取られていると繰り返した。そしてこの不祥事に対して個人的な遺憾の意を表明した。
モラナ氏は、「この出来事が発生し個人的にひどく落ち込みました。残念な経験をされた顧客の方々に対してこの機会に改めて謝罪したいと思います」と述べた。
また声明は、明らかなミスが発生したときに賭事を取り消すために使われる用語である“明らかなミス(palpable error)”があった可能性について初めて言及した。
モラナ氏は、「契約条件に従い、技術上の不具合のため、賭事取引は無効にされました。これは他のブックメーカー数社が実施している“明らかなミス”のルール適用と同様です」と語った。
進行中の論議において、この言葉遣いはまた別の議論を巻き起こすこととなった。というのは、ベッティング・エクスチェンジの掲示板の投稿者が、なぜ顧客がエラーの責任を負わなければならないのか、技術的ミスなのか人為的なミスなのか、この件においてベットフェア社はいつレースを無効にしたのかについて問題としているからである。
ベットフェア社のスポークスマンであるトニー・カルヴィン氏は、「弊社の契約条項には、もし技術上のミスが発生すれば取引あるいは賭事受付けを取り消すことができると明確に述べられています」と語った。
ベットフェア社の株価は3日間で7.5ポンド下落し、終値は752.50ポンドであった。
By Tom Kerr
(1ポンド=約130円)
[Racing Post 2011年12月31日「Betfair chief: rogue bot behind Voler fiasco」]