海外競馬ニュース 軽種馬登録ニュース 海外競馬情報 統計データベース 海外競馬場・日程 世界の競馬および生産統計 海外競走登録 申請書類
血統書サービス 引退名馬
twitter FB
TOPページ > 海外競馬ニュース > ジョッキークラブ、調教中薬物検査に資金援助(アメリカ)[獣医・診療]
海外競馬ニュース
2013年09月12日  - No.37 - 4

ジョッキークラブ、調教中薬物検査に資金援助(アメリカ)[獣医・診療]


 ジョッキークラブは2014年〜2015年の2年間、重賞競走に重点を置いた薬物検査を強化するためいくつかの競馬統轄州に最大50万ドル(約5,000万円)を提供する。

 この提案は、8月11日にニューヨーク州サラトガスプリングスで開催されたジョッキークラブ円卓会議(Jockey Club Round Table Conference)で発表され、薬物治療と馬薬物検査の分野へジョッキークラブはより一層力を注ぐことを明らかにした。今年の円卓会議では、多くの時間を割いて薬物および競馬界の薬物使用に関する考え方について話し合われた。

 ジョッキークラブのスチュアート・ジャニー(Stuart Janney III)副会長は、州競馬統轄機関の3分の1には薬物検査を認めるルールが制定されていると述べた。しかしその多くは、費用と法的な問題もあってスクリーニングテストを実施していない。

 ジャニー副会長は、いくつかの進展を次のように挙げた。2012年〜2013年に、ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission)はケンタッキーダービー(G1)の全出走馬に対してレース前に最低2回の薬物検査を、またニューヨーク州ゲーミング委員会(New York State Gaming Commission)はベルモントS(G1)とウッドメモリアルS(G1)の出走馬に調教中薬物検査を実施している。

 通常血液ドーピング剤を検出するために行なわれる薬物検査は、8月後半のトラヴァースS(G1)と11月初めのブリーダーズカップで実施される可能性がある、とジャニー副会長は述べた。

 今回発表されたジョッキークラブの助成金制度では、資金援助を受ける州競馬統轄機関は、その薬物検査の範囲をステロイドやデルモルフィン(dermorphin 別名“フロッグジュース”)など他の第1類薬物にまで拡大しなければならない。その他の薬物は、検査の進展に伴ってリストに加えられるだろう。

 ジョッキークラブは、2014年に25万ドル(約2,500万円)まで提供し、2015年にも同額を提供する。

 「ジョッキークラブと州競馬統轄機関は、ますます複雑化する競走能力向上薬物に立ち向かう構えで、ドーピング規制において調教中薬物検査はいっそう重要な役割を果たします。調教中薬物検査は強力な抑止力となり得るので、競馬において競走後薬物検査の完全な後ろ盾となります」。

 「新技術によって、競走の数週間前に薬物を投与してもその競走能力を高める効果を長持ちさせることができるようになっており、通常の競走後薬物検査では投与した形跡や検出可能な残留物を残さない薬物もあることを私たちは認識しています」。

 ジョッキークラブは8月11日に816人の熱心な賭事客や予想業者を対象とした調査結果を発表した。ペン・スコーエン・バーランド社(Penn Schoen Berland: PSB)が実施した調査は、薬物と公正確保の問題が最も重要視されていることを示している。対象は競馬ファン403人、ライト競馬ファン401人、“大口賭事客”や月5万ドル(約500万円)以上購入する人々28人であった。

 この調査によれば、回答者の69%が競馬における薬物使用を、66%が公正確保を最も重要な懸念だと考えている。回答者にとってこれらの問題は、パリミューチュエル賭事の控除率、リーダーシップの欠如、時代遅れの施設、競馬における人馬の事故よりも重要であるとされている。

 また、大口賭事客の5人に4人は薬物問題を“非常に重要”と考え、同じ割合の80%の人々が控除率を“非常に重要”と考えている。

 控除(賞金、運営費、および最近では大口賭事客へのリベートのために発売金全体から控除される金額)の問題を、競馬産業がこれほど大きく取り上げたことは今までなかった。しかし、控除の実質5%〜10%分をリベートとして受け取る大口賭事客がその率を重要な問題と考える理由は示されていない。

 この調査結果の概要は次のように示している。「“大口賭事客”などの熱心なファンの薬物および公正確保問題の解決により競馬を改革することへのこだわりは、強く深いものである。不正を働く者にはより厳格な罰則を与え、競馬ファンにはより一層の情報開示をしなければならない。献身的な賭事客が期待する薬物問題と公正確保の真の改革は、サラブレッド競馬における治療目的の薬物使用の背後にある価値観を変えることになるだろう」。

 「過半数の賭事客(57%)は、馬は競走当日まで治療薬を投与されず、いかなる薬物の影響も受けず出走するのを見たいと考えている。今ある価値観が“薬物なし”の考え方に変わることは、現在のファンの5人に3人(60%)、また潜在的ファンの3人に2人(67%)に支持されている」。

By Tom LaMarra
(1ドル=約100円)

[bloodhorse.com 2013年8月11日「The Jockey Club to Help Fund Drug Testing」]


上に戻る