アルカナ社8月1歳セールの結果(フランス)[生産]
8月17日(土)から19日(月)まで開催されたアルカナ社(Arqana)の8月1歳セールは、上場馬が昨年から約100頭減少したが、売上げは17%増の3,468万ユーロ(約45億840万円)を記録した。平均価格は37%増の約13万5,000ユーロ(約1,755万円)でこのセールの最高記録となり、売却率は約10%増の75.15%に達した。また通常最も取引が伸び悩む最終日に売却率が昨年の62.3%から77%に上昇したことは、注目に値する。アルカナ社のエリック・オワイヨー(Eric Hoyeau)社長は、今回のセールにおいて上場馬を厳選したことで大きな収穫があったと評価している。そして概況を次のように語った。「セリ最終日は、売上げを大きく伸ばした土日に続き好調でした。私たちは欧州の購買者の強い存在感とフランスの購買者数の勢力拡大を確認すると同時に、顧客の新陳代謝も確認しました。開催日を1日減らし、上場馬を厳選したことは、すべての指標に大きな上昇をもたらしました。この新しい形は開催期間全体に活気を与えました」。
合計12頭を総額77万ユーロ(約1億10万円)で購買した地元フランスのジャン-クロード・ルジェ(Jean-Claude Rouget)調教師が月曜日のトップバイヤーとなったが、この3日間全体のセリは、ピーター&ロス・ドイル(Peter and Ross Doyle)夫妻、モハメド殿下(Sheikh Mohammed)の生産顧問ジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏などの英国の購買者が多くの馬を落札していた。下表に示されているように、マンドール・インターナショナル社(Mandore International Agency)のニコラ・ド・ヴァトリガン(Nicolas de Watrigant)氏がトップ5に入った唯一のフランス人購買者であるが、同氏が基本的にカタールの馬主代理として購買していることは明白にしておかなければならない。売り手では、モンソー牧場(Ecurie des Monceaux)が昨年同様トップセラーとなったが、クーロンス・コンサインメント(Coulonces Consignment アンナ&エティエンヌ・ドリオン夫妻)が最高額落札馬を売却し2位となった。その馬は、開催中に特に人気を集めた種牡馬ドバウィ(Dubawi)が送り出した牝馬であり、ドバウィは、2番目に高額だったガリレオ牝馬2頭と同額の牡馬も出した。一方チャンピオン種牡馬ガリレオ(Galileo)は、クールモア牧場のオーナーたちの購買により常にその人気が支えられている。
トップバイヤー上位5人 | |||
購買者 | 購買頭数 | 平均価格 | 売上げ |
ピーター&ロス・ドイル | 7頭 |
360,740ユーロ (4,690万円) |
2,525,000ユーロ (3億2,825万円) |
ジョン・ファーガソン | 8頭 |
311,250ユーロ (4,046万円) |
2,490,000ユーロ (3億2,370万円) |
マンドール・インターナショナル社 | 9頭 |
255,000ユーロ (3,315万円) |
2,295,000ユーロ (2億9,835万円) |
マイケル・ヴィンセント・マグナイア (Michael Vincent Magnier) |
3頭 |
716,667ユーロ (9,317万円) |
2,150,000ユーロ (2億7,950万円) |
ジェームズ・ハロン・ブラッドストック (James Harron Bloodstock) |
2頭 |
865,000ユーロ (1億1,245万円) |
1,730,000ユーロ (2億2,490万円) |
トップセラー上位5人 | |||
購買者 | 購買頭数 | 平均価格 | 売上げ |
モンソー牧場 | 24頭 |
233,625ユーロ (3,037万円) |
5,607,000ユーロ (7億2,891万円) |
クーロンス・コンサインメント | 23頭 |
159,957ユーロ (2,079万円) |
3,679,000ユーロ (4億7,827万円) |
カプシーヌ牧場 (Haras des Capucines) |
20頭 |
176,950ユーロ (2,300万円) |
3,539,000ユーロ (4億6,007万円) |
メズレー牧場 (Haras du Mezeray) |
23頭 |
148,261ユーロ (1,927万円) |
3,410,000ユーロ (4億4,330万円) |
エートルアム牧場 (Haras d’Etreham) |
25頭 |
97,920ユーロ (1,273万円) |
2,448,000ユーロ (3億1,824万円) |
高額落札馬上位5頭 | |||||
ロット | 性別 | 売却者 | 購買者 | 落札額 | |
163 | 牝 | 父:ドバウィ | クーロンス・コンサインメント | ジェームズ・ハロン・ブラッドストック |
1,500,000ユーロ (1億9,500万円) |
母:Hit The Sky | |||||
14 | 牡 | 父:ドバウィ |
バリーリンチスタッド (Ballylinch Stud) |
ピーター&ロス・ドイル |
1,000,000ユーロ (1億3,000万円) |
母:Mise | |||||
33 | 牝 | 父:ガリレオ | モンソー牧場 | マイケル・ヴィンセント・マグナイア |
1,000,000ユーロ (1億3,000万円) |
母:Prudenzia | |||||
99 | 牝 | 父:ガリレオ | モンソー牧場 | マイケル・ヴィンセント・マグナイア |
1,000,000ユーロ (1億3,000万円) |
母:Alpine Rose | |||||
54 | 牡 | 父:モンズーン | カプシーヌ牧場 | マンドール・インターナショナル社 |
650,000ユーロ (8,450万円) |
母:Sandy Girl |
成功したセリ形式変更
4日目に組み込まれ、即戦力となり得る仕上がり早の1歳馬に限定したV.2セールの第一回目の開催は、全体で235万ユーロ(3億550万円)を売上げ、特に約80%という高い売却率を記録したことで、大成功を収めた。上場1歳馬108頭のうち86頭が売却され、平均価格は2万7,623ユーロ(約359万円)。今回の形式を変えたセールに自信があったオワイヨー社長は、この結果に満足していた。「私たちは非常に高い売却率をはじめ、設定した目標をすべて達成し、初年度の結果に大変満足しています。フランスの売買仲介者や調教師もこの日来場し、先の3日間ですでに積極的に購買していた買い手が、さらに4日目にも新たな購買を行いました」。
このセリの最高落札馬は予想どおり優良馬ヴォルダ(Vorda)の半弟(父ドクターフォング)で、フランスの売買仲介者ギヨーム・ゴルス(Guillaume Gorse オティエールブラックストック社)がカザフスタンの顧客に委託されて11万5,000ユーロ(約1,495万円)で落札した。また、トゥルジュヴィル牧場(Elevage de Tourgeville)が上場した、ヴォルダと同じく父をオルペン(Orpen)とする牝馬も同じ落札額で、フランス人売買仲介者マルク-アントワーヌ・ベルググラシュト(Marc-Antoine Berghgracht)氏が、その顧客トニー・フォルド(Tony Forde)氏のために購買した。
このV.2セールのトップセラーは、ヴォルダの半弟をはじめとし11頭を総額28万6,000ユーロ(約3,718万円)で売却したエリック・レルミット(Eric Lhermite)氏のグランカン牧場(Haras de Grandcamp)であった。それに続いたのは、ルヴィエール牧場(Haras de la Louviere)とカドラン牧場(Haras du Cadran)であった。
By Pierre Champion
[Paris Turf 2013年8月22日「Coup de soleil!」]