ジョアン殿下の今後の野望(カタール)[その他]
昨日ロンドンでジョアン殿下(Sheikh Joaan Al Thani)のサラブレッド事業体アルシャカブレーシング(Al Shaqab Racing)の計画が発表され、競馬の世界における同殿下の野望の大きさが明らかになった。
その計画には、ハイクレアサラブレッドレーシング社(Highclere Thoroughbred Racing クラブ法人馬主)を陰で支える男として良く知られているハリー・ハーバート(Harry Herbert)氏をアルシャカブレーシングの競馬アドバイザーとして抜擢することが含まれており、同氏にとってこれが中心的な仕事となるだろう。
ジョアン殿下のスポークスマンであるナサール・シェリダ・アル・カアビ(Nasser Sherida Al Kaabi)氏は、アルシャカブの目標はカタールを振興しこの1年に成功を収めることであったと述べたが、ジョアン殿下の事業はこの1年で、所有馬トレヴ(Treve)の素晴らしい凱旋門賞優勝や、トロナード(Toronado)やオリンピックグローリー(Olympic Glory)のG1勝利などを達成している。
同氏は次のように語った。「ジョアン殿下は驚くべき野望を持っています。殿下は競馬界に入った以上ナンバーワンを欲しており、殿下にとって二位になることは最下位となることと同じなので、決して二位には甘んじません」。
「また、私たちは楽しむために競馬に関わっており、競馬を愛し情熱を持っていることを皆さんに知ってもらうことは重要なことです」。
ハーバート氏は、ジョアン殿下が英国とフランスに所有する計100頭〜110頭(アラブ馬を含む)の現役馬を管理しているサラブレッド事業体アルシャカブの運営を手伝うことになるが、ハイクレア社の役職からは一歩退くと述べた。
ハーバート氏は、次のように語った。「ハイクレア社の細かいことに関しては日常的に関わることが少なくなるでしょうが、全体的な事業運営には関わるつもりです」。
「ハイクレア社とアルシャカブは全く別の組織であり、私の役割は何よりもまずアルシャカブの競馬アドバイザーとして最善を尽くすことです」。
「うまく行くと考えています。もしそうでなければ、この役職を引き受けなかったでしょう。また、この抜擢がハイクレア社の損失につながるのは決して見たくないと殿下自身から言われました」。
ジョアン殿下はグレーの勝負服を継続する予定で、アルシャカブの所有馬は今後発表される新しい勝負服で出走することになる。この新しい勝負服は、アル・カアビ氏が“私たちの重要な財産”と評するフランキー・デットーリ(Frankie Dettori)騎手が着ることになる。
ハーバート氏は、「正しい選択をしたと確信しており、デットーリ騎手はこれから長年にわたって私たちと共に取り組むことになります」と付言した。
デットーリ騎手は、今年一時期をルカ・クマーニ(Luca Cumani)厩舎で過ごし2014年には修行を続けるためニューマーケットに戻ってくる21歳のカタール人でファレー・ボグナイム(Faleh Bogunaim)騎手の指導もする予定である。
アル・カアビ氏は、「カタールの首長とジョアン殿下にとって、カタール人騎手が優勝することはこの上ない喜びとなるでしょう」と語った。
アル・カアビ氏は、近い将来一流スポンサーとの契約締結を望んでいるアルシャカブレーシングにとって、英国競馬は重要であると強調した。
「私たちは英国とフランスの競馬を愛しています。現在欧州に重点を置いていますが、将来は米国か欧州に我々の事業を拡大したいと考えています」。
米国への最初の一歩は既に踏み出されており、トッド・プレッチャー(Todd Pletcher)調教師が来年アルシャカブの2頭の馬を管理することになっている。
アルシャカブは、リチャード・ハノン(Richard Hannon)、マルコ・ボッティ(Marco Botti)、サー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)およびリチャード・フェイヒー(Richard Fahey)の各調教師とともに素晴らしい成功を収めた、とアル・カアビ氏は述べた。
アルシャカブが将来厩舎を1つに集中させるかについて聞かれて、アル・カアビ氏は、将来の1つの選択肢ではあるが今のところは考えていないと語った。
そして、「現在のところ、様々な調教師とともに素晴らしい成功を収めました。それぞれの調教師は独自の考え方と特長を持っており、それで良いと考えています」と付け足した。
また同氏は、ジョアン殿下が、従兄弟のハマド殿下(Sheikh Hamad)、スハイム殿下(Sheikh Suhaim)およびファハド殿下(Sheikh Fahad Al Thani)の馬所有グループであるカタールレーシング(Qatar Racing)と数頭の馬を共同所有するという、10月本紙で報道された記事を事実と認めた。
By Bill Barber
[Racing Post 2013年11月30日「Sheikh Joaan outlines his ambitious vision of future」]