BHA、出走頭数減少の問題に競走数削減で対応する構え(イギリス)[開催・運営]
BHA(英国競馬統轄機構)は、CEOのポール・ビター(Paul Bittar)氏が“臨界点にまで到達している”と認める出走頭数減少の問題に対応するには、競馬開催日数削減よりも、年間において出走頭数が“危機的レベル”にある競走の数を削減する方が望ましいと考えている。
この提案は、6月11日夜に始まったBHAの2015年競馬開催日程に関する諮問(consultation)の一部となっており、出走頭数減少問題に対する長期戦略の土台を形成することになるだろう。
ビター氏は、「BHAは出走頭数を増加させるために“競走策定戦略”など多重的アプローチを採用していきますが、それだけではこの問題に取り組むには十分ではないでしょう」と語った。
英国の平均出走頭数は2005年の11頭から2013年には9頭に減少し、他のいくつかの競合する競馬国に比べるとずっと少ない。開催日数は2008年からほぼ変わらないが、昨年の競走数は6年前よりも652レース多かった。しかし、この6年間において競走馬の全頭数は1,500頭以上減少している。
BHAは、年間のある時期に、いくつかの競馬開催で競走数を7レースから6レースに減らすことを検討している。
ビター氏は次のように語った。「BHAが運営する競走への出走頭数の少なさと出走頭数全体の傾向に関して、まさに臨界点に達していることに議論の余地はありません」。
「決して大げさに言っているわけではありません。諮問プロセスを経て、2015年の競馬開催日程の戦略を仕上げるために、多くの利害関係者、産業界および賭事客に協力してもらう良い機会であると考えています」。
「出走頭数減少は単にBHAに影響を及ぼすだけではく、賭事産業や競馬場の収入にも影響を与えますので、私たちは誰もが意見を言う権利があると考えています。今や行動の時です」。
諮問文書は、出走頭数が“危機的レベル”になる時期を明らかにしている。年間において、平地競走は12月〜3月と8月、障害競走は7月、9月と10月である。
しかし、ビター氏はただ単に開催日数を削減することは弊害をもたらすと述べ、次のように続けた。「人々は直感的に開催日数が多すぎるので削減すればいいと言うでしょう。しかし、競馬産業と競馬場の収入をどうやって確保するかが問題であり、これは一筋縄では行かないのです」。
「したがって、開催日程の、より特定された領域でこの問題の原因を追究しましたが、それは開催日数ではなく、競走数の増加だったのです」。
「私たちは多重的アプローチでこの問題に対処できると考えていますが、大部分は一連の“競走策定戦略”と、年間のある時期における競走数の過剰(平地、障害、オールウェザー)の見直しで対応します」。
“競走策定戦略”には、(1) 出走馬や出走登録馬がほとんどいない競走の中止、(2) 競走馬の頭数に見合うように競馬開催の地理的分布を改善する計画、(3) レースの分割・再提供・再開のような領域の検討が含まれている。
ビター氏は、「BHAは競馬にとって何が最善であるかという視点から、この検討プロセスに取り組んでいるので、勝者と敗者が出ることになるかもしれません」と語った。
そして次のように付言した。「利害関係者、とりわけ競馬場が“競走策定戦略”で十分であり、競走数については何もする必要がないと言うのではないかと思っています。しかし、実際のデータや調査は、そうではなさそうだということを示していると思います」。
諮問文書には、現時点での調査結果が提示された上で、38の質問が載せられている。この調査結果には、オールウェザー競馬とその開催日程に関するデロイト社(Deloitte)の報告の内容が含まれている。
この報告では、北部にオールウェザー馬場が敷設されることで、オールウェザー競走への出走頭数は年間900頭増加し、現在の競走馬の頭数で北部の45〜50日のオールウェザー競走開催日を支えることができると結論している。
BHAは、競馬産業内の利害関係者だけではなく一般市民からの回答も歓迎すると述べている。諮問文書への回答の締切期日は7月1日である。
2012年国別平均出走頭数 | |||
香 港 | 12.5頭 | 日 本 | 10.9頭 |
南アフリカ | 11.7頭 | アイルランド | 10.6頭 |
フランス | 11.1頭 | オーストラリア | 9.9頭 |
シンガポール | 11.1頭 | 英 国 |
9.6頭 (2013年)9.0頭 |
By Bill Barber
[Racing Post 2014年6月12日「Bittar: races need to be cut to tackle small fields」]