BHAのCEOビター氏、3年間の任期満了に伴い来年初めに退任(イギリス)[開催・運営]
BHA(英国競馬統轄機構)のCEOポール・ビター(Paul Bittar)氏は、3年間の任期満了に伴い来年初めに退任する予定である。
ビター氏とBHAのスティーヴ・ハーマン(Steve Harman)会長は、合意の上でこの決定を下し、BHAはビター氏には次の就任先を検討するのに多くの選択肢があると語った。
次期CEO探しは開始されており、後任者は秋に発表される予定である。
ビター氏は2011年9月にBHAの現職に任命された。同氏は以前レーシングヴィクトリア(Racing Victoria)のCSO(最高戦略責任者)を務め、その前にはニュージーランドサラブレッドレーシング(New Zealand Thoroughbred Racing)のCEOを務めていた。
ハーマン会長は次のように語った。「ビター氏は、競馬の将来の成長のための基盤の構築に貢献してきており、競馬の規則と公正確保を強化し、全体的な健全性を改善しました。同氏の知性と競馬についての知識は極めて貴重であり、BHAと競馬界全体が次の段階へ進むのに大きく寄与してきました」。
「私が2013年夏にBHAの会長に就任した時に、ビター氏が2015年初めまで留任することに同意してくれて大変うれしく思いました。同氏の退任時期を計画したことで、私達は、BHA理事会、資金協力者、役員チームと同時に進めることができ、競馬産業の成長戦略を実行しやすい立場になりました。次期CEO探しは始まっており、ビター氏の後任者は秋に発表されるでしょう」。
「ビター氏はそのチームに支えられ、年内にいくつかの重要な目標を達成すべく懸命に取組み続けるでしょう。それは2015年競馬開催日程、賦課金についての政府との協議、そして競馬産業の成長戦略のさまざまな側面への支援などです」。
「ビター氏は今後の自身の役割として多くの選択肢を検討しており、どのような立場を選ぼうとも大きな影響を与えることになると思います」。
新しい鞭使用ルールの騒動の最中にCEOに就任したビター氏は、この難問を解決することによって高い評価を受けた。
同氏はBHAの商業分野におけるリーダーシップを再構築したが、ベットフェア社(Betfair)との間で締結した4,000万ポンド(約68億円)の任意賦課金契約も強調すべき業績の1つである。
しかし、マームード・アル・ザルーニ(Mahmood Al Zarooni)元調教師とサンゲート(Sungateステロイドの一種スタノゾロールを含む馬への治療薬)に関連するステロイド問題への取り組み方には批判があった。
ビター氏は次のように語った。「BHAが過去数年間に達成したことに満足しており、来年初めに退任することは少しさびしく思います」。
「課題と構造の複雑さがあるにもかかわらず、英国競馬は従事し甲斐のある国際レベルのスポーツであり、BHAのCEOのポストに就けたことと、献身的なチームを統率できたことは光栄でした。私は英国で施行される競馬の質と多様性を愛しており、飽きることは決してないでしょう。この点に関しては匹敵する所はありません」。
「私たちが大きく前進させた分野は多くあります。就任当初の数週間には新しい鞭使用ルールを巡る論争の解決という課題が突きつけられ、その後困難なグランドナショナルの問題が生じました。BHAが採った競馬産業の関係団体との共同アプローチと、その後の対策は励みとなり満足の行くものでした。その結果、競馬界が与えられて当然の良い評価に傷をつけかねないような否定的報道が、その後行われることはありませんでした」。
「私たちは賭事産業との関係をより良いものとするために根本的な仕組みの変更を意識的に探求し、検討してきましたが、その一方で、英国競馬の資金調達について政府と連係する戦略も実を結び始めています」。
「私たちの主な役割は競馬を統轄することなので、マームード・アル・ザルーニ氏の管理馬からアナボリック・ステロイドの陽性反応が出たことは、競馬界が直面した最大の課題であったことは間違いありません。この重大な事件を経験したことで、迅速で断固たる行動が正当化されました。今後数年間において世界中の競馬界がアナボリック・ステロイドの脅威にどう対応するかについて大きな変化をもたらすきっかけと見なされることになるかもしれません。BHAはこの件について基準を厳しくし、厳格で確固とした国際最低基準を模索するために主要なリーダーシップをとっており、私はこの方針が維持されると確信しています」。
「英国競馬の将来の展望は、今や2011年末に比べてずっと前向きなものとなっているのは明らかであり、BHAの評判も高まったと確信しています。私たちは競馬が真に成長し繁栄できる土台を築きました」。
「任期満了までに多くのことを確実に達成するために、ハーマン会長と理事会を支えることに専念しています。2014年後半に予定される事項について数例を挙げれば、(1) 2015年競馬開催日程の決定、(2) 海外賭事業者への賦課金徴収と賦課金改革についての政府との協議、(3) 資金協力者とのより協力的で正式な仕組み作りの仕上げ、(4) 競馬産業の成長戦略の次段階への発展です。退任までの半年間、役員たち、理事会および資金協力者とこれらの課題について効果的に取り組むことを楽しみにしています」。
By Bill Barber
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2014年8月4日「Chief executive Bittar set to leave BHA next year」]