電子タバコ会社がドンカスターカップのスポンサーに(イギリス)[その他]
2003年に競馬界でタバコ会社とのスポンサー契約が禁止されて以来、ドンカスター競馬場は英国で初めてタバコ関連商品名を冠する競走を開催する競馬場となる。
ソーシャライツ電子タバコ社(Socialites Electric Cigarettes)は、ドンカスター競馬場の屋内で電子タバコを吸うことが禁じられているにもかかわらず(屋外のみ可)、今日まで続く世界最古の競走ドンカスターカップ(G2)のスポンサーを今後3年間務める。
今年の長距離三冠競走の三冠目ドンカスターカップが施行される9月12日に、ソーシャライツの無料パックが配布され、ドンカスター競馬場のタバコ産業との関係が再開する。同場のセントレジャーS(G1)は、タバコ広告禁止法が差し迫っていたため撤退が余儀なくされた2002年までの4年間、ロスマンズ・ロイヤル(Rothmans Royals)がスポンサーを務めていた。
ドンカスター競馬場のマーク・スピンサー(Mark Spincer)場長は、1766年創設のドンカスターカップに画期的なスポンサー契約を成立させたことに満足し、次のように語った。「意表を突く契約成立だと考えています。ソーシャライツは競馬界への参入を模索しており、私たちは良いタイミングでうってつけの場所にいました。4ヵ月にわたりソーシャライツとともに取り組み、現在レストランに改装された昔の検量室でスポンサー契約がまとまりました。彼らは一流レースを対象に検討していて、不在であったドンカスターカップのスポンサーを務めることになり、私たちにとっても競馬界にとっても素晴らしいニュースとなりました」。
本社をチェスターフィールドに置くソーシャライツは、地元サッカーチームのスポンサーとなり広告活動を行っているが、競馬界に参入するのは初めてである。マーケティング部長のアンドリュー・ペイン(Andrew Payne)氏は将来を楽しみにしており、次のように語った。
「ドンカスター競馬場は地元と言える一番近くの競馬場なので、これは絶好の機会です。しかもセントレジャーフェスティバル(今年は9月10日〜13日)は一流開催なのでとてもワクワクしています」。
「喫煙(電子タバコの場合は“喫蒸気”ですが)が屋内で許されておらず、喫煙可能な場所がほんの数ヵ所に限られているということは私たちを敬遠させる問題ではありません。電子タバコは無臭で、臭いが残らず、間接喫煙がないので、やがて事情は変わるかもしれません。それに、電子タバコは屋外で吸うことができます」。
同氏は次のように付け加えた。「ドンカスター競馬場は私たちを快く歓迎してくれ、願わくば来年はもっと大規模なスポンサー活動をしたいと考えています。この上ないブランドとレースの組合せですので、大成功となることを期待しています」。
健康推進団体である「喫煙・健康アクション」(Action on Smoking and Health:ASH)は、今回のドンカスター競馬場のスポンサー契約は問題ないと語った。
ASHの研究・政策担当理事であるヘイゼル・チーズマン(Hazel Cheeseman)氏は次のように語った。「電子タバコがいわゆるタバコではないことと、禁煙の一助となるという根拠があることを念頭に置くべきです。私たちはこれらの商品が子供やタバコを吸わない人々に販売促進されることは望みませんが、このスポンサー契約と広告活動は喫煙する成人を対象としているので別です。もしタバコをやめたいと思っている人がいるならば、私たちは“電子タバコはその一助となるでしょうが、最寄の禁煙治療施設に行くのが一番確かな道です”と言うでしょう」。
By Graham Green
[Racing Post 2014年9月2日「E-cigarettes company to sponsor Doncaster Cup」]