英国ブックメーカーの明暗を分けた凱旋門賞(イギリス)[その他]
トレヴ(Treve)の歴史的な凱旋門賞(G1)連覇に、英国のブックメーカーは喜びと悲しみが入り混じった祝福を送った。
トレヴは昨年の凱旋門賞優勝以降3連敗したことで、今年の凱旋門賞に出走する際には11-1(12倍)のオッズが付けられた。ラドブロークス社(Ladbrokes)のデヴィッド・ウィリアムス(David Williams)氏は次のように語った。「それほど悪くありませんでした。それまでG1競走で最低オッズが8-1(9倍)になったことはないのですが、凱旋門賞開催日の賭けはいつも広範囲にばらけるようです」。
「すべての主要販売経路で売上げは好調で、単複馬券の売上げが後押しとなったのは明らかです」。
「タグルーダ(Taghrooda 3着)は複勝馬券ではひどい結果をもたらしましたが、このような歴史的な日において不平を言うのは無作法でしょう。想定以上に損失を出したわけではありませんし、祝福の日です」。
コーラル社(Coral)はシャンパンのコルクを抜くことは無かったが、スポークスマンのデヴィッド・スティーヴンス(David Stevens)氏は次のように語った。「今シーズンの3連敗にもかかわらず、トレヴを信頼し続けたのはその調教師だけでなく、賭事客もそうでした」。
「レーシングポスト紙が週前半に伝えた通り、関係者の前向きなコメントによってトレヴの人気は持ち直したので、弊社のオッズ11-1(12倍)はトレヴに賭ける人が多い割には大きすぎました」。
「競馬にとってはとても満足感を与えましたが、私たちにとっては結果的に損失をもたらした凱旋門賞でした」。
ベット365社(Bet 365)を代表するパット・クーニー(Pat Cooney)氏はずっと明るいトーンで次のように語った。「トレヴの優勝は私たちにとって素晴らしい結果です」。
「私たちにとって主な損失を出したのは出走馬確定前のエクト(Ectot 17着)とタグルーダですが、間違いなくこれまでで最も多忙な凱旋門賞デーでした」。
「私たちは来年の凱旋門賞も20頭立てで、最低オッズが8-1(9倍)となることを望んでおり、今年はハープスターが不運にも負けたので、日本馬を続けて支持したいと思います。日本馬が凱旋門賞を勝つのは時間の問題だと思います」。
ウィリアムヒル社(William Hill)は日本馬が来年の凱旋門賞を優勝することに3-1(4倍)のオッズを付ける一方、2019年より前に日本馬が優勝できないことに11-10(2.1倍)のオッズを付けた。
英国とアイルランドにおいて、競走で一番で決勝線を過ぎた馬に払戻しを行うのがブックメーカーの習慣であるが、大半のブックメーカーはこの方針をフランスにまで適用しておらず、ジャンリュックラガルデール賞(G1)でフルマスト(Full Mast)の3着に降着となったグレンイーグルズ(Gleneagles)を支持した賭事客には高くついた。
しかしパディパワー社(Paddy Power)、ベットヴィクター社(Bet Victor)、ベットフェア社(Betfair)でグレンイーグルズを支持した賭事客は同馬を勝馬として払戻しを受けた。
By Graham Green
[Racing Post 2014年10月11日「Bookmakers report no major damage」]