北米では珍しい白毛馬の勝利(アメリカ)[その他]
3月9日、めったに血統登録されない白毛サラブレッドであるウェアザマスク(Wear the Mask 4歳)は、マホニングバレー競馬場の第4レースで終始先頭に立ち、キャリア2勝目をあげた。
エアドリーアパッチ(Airdrie Apache)産駒のウェアザマスクは、ミーガン・ファドロヴィッチ(Megan Fadlovich)騎手を背に、下級条件のアローワンス競走を2馬身差で制した。
1マイル70ヤード(約1672m 稍重)のこのレースの勝ち時計は1分46秒42であり、6ハロン(1200m)まで23秒21/46秒79/1分12秒84のタイムで走破した(単勝払戻金は2ドルに対して19.40ドル)。
ウェアザマスクはネバダ州のキム・リーヴィット(Kim Leavitt)氏に生産され、イヴァン・バスケス(Ivan Vasquez)調教師の管理馬である。馬主は、ケンタッキー州西部のカルヴァートシティ近郊にあるメグソン牧場(Megson Farms)のベルバ・メグソン(Berva Megson)氏である。
同馬は殆どオハイオ州で出走し、通算成績は18戦2勝(2着5回、3着1回)、獲得賞金は2万1,132ドル(約254万円)である。白毛は、エアドリーアパッチの母ナットクワイトホワイト(Not Quite White 父ノースジェット、母サッドソング、母父ロベルト)から受け継がれた。エアドリーアパッチは体躯に白い斑をもつ栗毛であり、その父ニーヴァス(Naevus)は栗毛であった。
ウェアザマスクはホークスター(Hawkster)の牝馬ミスドゥビアス(Ms. Dubious未出走)から生まれ、1999年の年度代表繁殖牝馬であるアンキャンベル(Anne Campbell)の子孫である。ウェアザマスクの3代母であるアンキャンベルは、G1馬のメニフィー(Menifee)とデザートワイン(Desert Wine)を送り出している。
メグソン牧場は現在24頭以上を繋養しており、北米で最も多くの血統登録された白毛サラブレッドと白毛繁殖牝馬群をもつ牧場である。また、1993年の最優秀2歳牝馬であるフォーンチャッター(Phone Chatter)の産駒、11歳の鹿毛エルロメオ(El Romeo 父ストームキャット)も繋養している。
これまで北米では、白毛のサラブレッドがステークス競走で優勝したことはない。一方、日本ではユキチャン(父クロフネ、母シラユキヒメ、母父サンデーサイレンス)が2008年から2010年にかけて、ステークス競走を3勝している。
血統登録されているサラブレッド全体に対する白毛の割合は、1%に遠く及ばない。ジョッキークラブによれば、“たてがみ、尻尾、肢を含む体毛全体が主に白いこと”が、白毛の判断基準である。
白毛はアルビノ(メラニンの生合成に係わる遺伝子情報の欠損により、先天的にメラニンが欠乏している遺伝子疾患をもつ個体)ではなく、単一の支配的遺伝子の突然変異によるものと考えられている。
By Blood-Horse Staff
(1ドル=約120円)
[bloodhorse.com 2015年3月9日「White Thoroughbred Wins at Mahoning Valley」]