BHA、遠征馬の薬物検査を免除する国一覧に香港を追加(イギリス)[獣医・診療]
BHA(英国競馬統轄機構)は、新しい“ゼロ・トレランス主義のアンチドーピング戦略”の下、遠征馬が英国調教馬と同等に扱われる国の一覧に香港を追加した。
BHAのCEOニック・ラスト(Nick Rust)氏は、ニューヨークで開催されたパンアメリカン会議(Pan American Conference)のプレゼンにおいて、この決定を発表した。これにより、クイーンアンS(G1)に出走する香港調教馬エイブルフレンド(Able Friend)は、渡英前に、BHAが定める薬物検査を受ける必要がなくなる。同馬は、6月6日に英国に到着し、ニューマーケットのマイケル・ベル(Michael Bell)厩舎に入る予定である[訳注:エイブルフレンドは、クイーンアンSでソロウ(Solow)に次ぐ2番人気に推されていたが、ソロウの6着に敗れた]。
また、英国への遠征馬は、薬物検査のために出走予定レースの10日前には英国に到着することが義務付けられているが、香港からの遠征馬はその必要がなくなる。これは、アイルランド、フランス、ドイツ、スウェーデンからの遠征馬も同様である。これらの競馬管轄区は、BHAと同じ厳格なアンチドーピング方針が適用されているからである。
上記の国以外からの遠征馬は、血統登録から競走引退までのアナボリック・ステロイドの使用禁止を含む薬物ルール(今年3月に厳格化された)を遵守しなければならない。
ラスト氏は、北米・南米その他多数の国から参加した約250人の代表者に対し、「BHAのルールを英国以外の競馬管轄区に広めようとしているのではなく、BHAが先頭に立って、国際的な方向性に影響を及ぼしていきたいと考えています」と語った。
アイルランド、フランス、ドイツ、スウェーデンおよび香港と締結した“優遇”協定に関し、ラスト氏は、「今後数ヵ月の間に、米国のような他の主要競馬国とも、同様の協定の締結に向けて取り組めることを望んでいます」と語った。
ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland)のCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏も、この会議で発言し、重賞競走の数と配分に関する疑問を呈した。そして、特に南米諸国において、ブラックタイプ競走の配分を減少させるか否かについて検討する必要があることを示唆した。
ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee)の会長という立場で発言したカヴァナー氏は、「生産頭数の減少にもかかわらず、この30年間で重賞競走は総計で10%増加しました。このことは、ブラックタイプ競走の過剰を意味しています」と語った。
カヴァナー氏は、日本とトルコの例をあげた。これらの国は、国際セリ名簿基準委員会(International Cataloguing Standards Committee)のパート1国への昇格を目指し、G1競走の質を強調するために重賞の数を削減した。パート1国となれば、その国のステークス競走は、グループ/グレード競走あるいはリステッド競走として、セリ名簿に記載される(訳注:日本は2006年にパート1国入りが決定した)。
By Howard Wright in New York
(関連記事)海外競馬情報 2014年No.7「BHA、アナボリック・ステロイド使用に対する罰則を厳格化(イギリス)」
[Racing Post 2015年6月6日「BHA adds Hong Kong to testing exemption list」]