カリフォルニア州、新しい鞭使用ルール発効も概ね支障なし(アメリカ)[開催・運営]
カリフォルニア州の新しい鞭の使用ルールは、7月2日、発効後最初にレースが施行されたロスアラミトス競馬場において、問題なく遵守された。
新ルールは、馬の反応を見るまで鞭を連続使用できる回数を3回までと定めているが、これに違反した騎手はいなかった。しかし、南カリフォルニアの裁決委員は、北カリフォルニアで同日施行されたプレザントン開催(オークツリー競馬協会が運営)において、2件の違反があったと語った。違反騎手名は公表されていない。
南カリフォルニアにおいて、新ルールが問題なく遵守された理由は単純である。競馬関係者は、裁決委員と騎手の準備が万全であることを確認していた。6月にサンタアニタ競馬場で施行された全レースにおいて、新ルール下で違反となる行為を行った騎手たちに対し、警告が発せられていた。2014年デルマー開催でも、同様のことが行われていた。
スコット・チェイニー(Scott Chaney)裁決委員は、「先月から新ルールを遵守していました。新ルール下での競馬施行に適切に対応できるよう、違反となる行為を行った騎手に警告を与えたのです。現在のところ、順調です」と語った。
ケント・デザーモ(Kent Desormeaux)騎手は、「私たちは、今日のために8ヵ月間練習してきました。特に、どのように騎乗すれば良いのか、学習できました」と語った。
デザーモ騎手と他の騎手たちは、近年、鞭に変更が加えられたことにより(緩衝パッドを入れ、長さを短くした)、その打撃による疼痛が減少していることに言及した。また、馬の能力を最大限に引き出すために道具に頼ることがなくなるので、騎乗技術が磨かれるとも付言している。
デザーモ騎手は、馬を叩くと弾けるような音を発する鞭に変更されたことについて、次のように語った。「この鞭に変えることにより、劇的に負荷が減少していることを周知させるべきです。大型動物である馬に対して、新しい鞭使用ルールが適用されても、あまり変化はないでしょう。新ルールにより、私たちは鞭に頼らず、腕力と踵を使うようになるので、一層腕利きの騎手となれるでしょう」と語った。
マジックマーク(Magic Mark)に騎乗して総賞金10万ドル(約1,250万円)のベルトランドSで優勝したドレイデン・ヴァン・ダイク(Drayden van Dyke)騎手は、デザーモ騎手の意見に同調し、次のように語った。
「実際のところ、騎手にとって役立つでしょう。鞭を矢継ぎ早に4回も連打すれば、馬は横跳びしかねません。新しい鞭使用ルールにより、騎手は真っ直ぐに走らせることに集中できます。素晴らしいことだと考えます」。
チェイニー裁決委員は、裁決委員がどのように客観的基準を定めたかについて詳しく述べた。このためには、“馬が鞭の連打に反応するための十分な時間”の判断が必要であった。
同裁決委員は、「私たちは、基準は“2完歩以上”とすることに合意しました。時折、馬の反応が確認できないことがありますので、多少とも主観が入る基準にはしたくありませんでした。当然ながら、騎手はレース中、何が起きているかを把握できる最高のポジションにいます。したがって、“2完歩以上”という客観的基準を定めました」と語った。
(訳注:ロスアラミトス競馬場の裁決委員は、7月2日のレース後の映像判定により、2名の騎手に鞭使用の新ルール違反が判明したことから、両騎手に過怠金を課した。)
By Jeremy Balan
(1ドル=約125円)
(関連記事)海外競馬ニュース
2009年No.40「正式な導入に先駆けて、騎手たちが 馬に優しい新型鞭を使用(アメリカ)」、
2014年No.37「カリフォルニア州、新しい鞭使用ルールが発効予定(アメリカ)」
[bloodhorse.com 2015年7月2日「New Whip Rule's First Day No Problem in SoCal」]